LINEは4月6日、一部報道で「資金決済法を意図的に免れた」とされた問題について、「そのような事実は一切ございません」と見解を発表した。
この問題は、今朝の新聞報道で資金決済法の規制を意図的に免れ、関東財務局が立ち入り検査したとされるもの。同法では、あらかじめ代金を支払って商品やサービスの決済に利用するものを「前払式支払手段(一種の通貨)」と規定するが、同社のスマートフォン向けゲームで使用する一部アイテムがこの手段に該当していた。
しかし同社はこのアイテムを「通貨」と規定しないとともに、本来法務局などに供託すべき数十億円分の「発行保証金」を供託せず、「通貨ではないと規定することが可能」として処理していたとされる。そのため、関東財務局が、資金決済法に基づく検査を1月に開始したという。
一方でLINEは同日に見解を発表。関東財務局の立ち入り検査を受けていることは認めたものの、「必要とされる供託を逃れようとしたかのような報道がなされましたが、そのような事実は一切ございません」と明確に否定した。立ち入り検査の受け入れは、前払式支払手段発行者に対して数年に1度定期的に行われているものであり、記事で触れられているゲーム「LINE POP」のアイテム「宝箱の鍵」の供託金の届け出をしなかった疑いに基づくものではないという。
その上で、LINEの今回の報道に関する詳細な見解を公開している。
同社は資金決済法で定義される前払式支払手段が、ゲーム上のアイテムを内包するか否か、法令上、行政実務上において「判断基準が明確ではない」(リリースより)ことから、ゲーム事業部に専任の法務担当者をあて、サービスリリース前およびバージョンアップ前に逐次確認させているという。
この担当者は、資金決済法上の3要件
- 価値の保存
- 対価発行
- 権利行使性
のすべてを満たしているか否かを基準に、アイテムなどの外観・使用場面などを総合考慮して判断しているという。判断が難しいものについては外部弁護士に相談の上で前払式支払手段に該当するかどうかを判断しており、リリース後も事後チェック体制をもって運用しているとしている。
ただし、記事中にあった社内担当者による供託金の問題提起があったことは事実のようで、2015年5月に同社で提供しているゲーム全タイトルを対象に事後チェックを行った際、LINE POPの宝箱の鍵が俎上に載せられたという。一方で、法務担当者や外部弁護士への相談・検討を行ったところ、7月における仕様変更前であっても「前払式支払手段に該当しない」と判断。外観や仕様場面などを総合的に考慮したものだったが、法令上、保守的な対応として、7月に仕様変更を行っている。
なおほかにも、記事中の「当時の未使用残高は約230億円。長期間使っていない利用者分を除いても数十億円の供託を求められる可能性があったという」という記述について、資金決済法上の資金保全の方法が、現金での供託以外に銀行との保全契約でも行えるとLINEは指摘。同社はこちらを採用しており、キャッシュアウトする場合でも数千万円であることから、「(問題が)財務状況に与える影響は軽微」としている。
リリース文末には「関東財務局と協議中」として、問題化していることは事実であるものの、悪意ある判断ではないこと、当局の判断に従うと強調した上で、事態に進展があった場合には「速やかにお知らせする」と締めている。