3月24日(米国時間)にSmashing Magazineに掲載された記事「Houdini: Maybe The Most Exciting Development In CSS You've Never Heard Of|Smashing Magazine」が、現在W3C Houdini Task Forceで進められている「Houdini」と呼ばれる取り組みを紹介した。記事ではHoudiniは考えられているよりも早いタイミングで利用できるようになるだろうと説明しており、関係者に注目を呼びかけている。
CSSで新しい機能が利用できるようになるには長い時間が必要になる。CSSに新しい機能が取り込まれ、これが広く利用できるようになるまでの流れを簡単にまとめると次のようになる。
- 新しい機能の提案と議論
- 仕様書の作成
- 仕様の実装(2.に戻って仕様の変更と実装の変更を繰り返す)
- ブラウザに機能が取り込まれるのを待つ
- 機能を実装したブラウザが大半のユーザーに使われるようになるまで待つ
- 新機能を利用する
標準化のプロセスはなくてはならないし、拙速に進めるわけにもいかない。かといって、新しい機能が利用できるまで何年も取り組みを続けないといけないのは骨が折れる。「Houdini」はデザインの実装をコンテンツ提供者側で変更できるようにすることで、こうした問題に対する解決策の1つとしようとする取り組みだ。
JavaScriptではまだJavaScriptエンジンで実装されていない機能であっても、JavaScript自身で機能を実装することで似たようなことができるようになる。CSSに対しても同じようにデザインの実装を変更するAPIを提供することで、まだ実装されていないデザイン機能をユーザーが実装できるようにしよう、というのがこの取り組みで注目されるポイントとなる。
デザイナが直接APIを実装したり、変更したりすることはないかもしれないが、開発者が実装したライブラリやフレームワークなどの上で新しいデザインの実装が進められるようになることが考えられており、現在よりも早いペースでデザインに関する技術が進展する可能性がある。Houdini自体が普及する必要があるが、Smashing Magazineの記事ではそれにはユーザーが考えているほどの長い時間はかからないだろうと踏んでいるようだ。今後の展開が注目される技術と言える。