東京理科大学(東京理科大)と高輝度光科学研究センターは3月24日、法科学への応用を目的とした日本全国土砂データベースが完成したと発表した。

同成果は、東京理科大学理学部応用化学科 中井泉教授らの研究グループによるもので、日本分析化学会 X線分析研究懇談会編集の「X線分析の進歩」に掲載される。

同研究グループは2009年度より、日本全国3024カ所から採取された河川堆積物試料について、大型放射光施設「SPring-8」の全自動放射光粉末X線回折測定システムにより重鉱物組成を求め、高エネルギー蛍光X線分析により重元素組成を求めてきた。今回、採取地点の位置情報をもとに、日本地図上に重鉱物と重元素の分布をそれぞれ重鉱物マップと重元素マップとして表したものをSPring-8のWebサイト上にて公開することとなった。

これら2種類のデータを複合的に解析する事によって、未知の土砂試料がどの地域のものか推定することが可能となるため、土砂を証拠資料とする科学捜査で活躍することが期待されている。同研究グループは今後、分析依頼の受託から放射光測定、起源推定、データ提供までの一連のプロセスを検証し、法科学応用への実用化を軌道にのせる計画であるとしている。

重鉱物マップの例 (左)角閃石の日本における分布。角閃石が多い地域は暖色、少ない地域は寒色 (右)地質図。桃色が花崗岩の多い地域。角閃石の分布との間に良い一致が見られる