NTT東日本は2月12日、スマートシティに関する日欧の共同実証実験「新世代ネットワークの実現に向けた欧州との連携による共同研究開発」プロジェクト(ClouTプロジェクト)の実施を発表した。
ClouTプロジェクトは、IoTアプリケーションをクラウド上で効率的に実行するための研究で、3年間にわたって実施する。基本アーキテクチャの策定や共通基盤の実現、スマートシティに特化したIoTアプリケーションを開発することが目的となる。以前の実証実験では、アーキテクチャの技術的検証やIoTアプリケーションの都市の課題解決への貢献度の評価などを調査した。
同プロジェクトでは「IaaS」「PaaS」「SaaS」にならい、各レイヤにCityを意味する「C」を付加し、デバイスデータなどの都市データを収集する基盤である「CIaaS」、収集したデータを組み合わせて高信頼なサービスとして提供する「CPaaS」、都市における市民生活・公共サービス向上のためのアプリケーションを構築する「CSaaS」に分類している。
最終年度の2016年は、日欧の研究グループが開発・実証してきたシステムをClouTアーキテクチャが定めるAPIに接続して、大気や気象などのセンサデータを一元的に収集、管理・加工・可視化する実験を実施する。
今回、日欧4都市のシステムを相互に接続し、ClouTアーキテクチャの総合的な技術検証を行う実証実験を15日より開始。都市の大気・気象情報などの都市データを各都市のシステムからクラウド環境上に集約して、日本の研究団体が開発したアプリケーションのデータ処理結果を4都市のパブリックサイネージにリアルタイムで配信する。
具体的には、「各都市の空気のキレイ指数」などの都市の動的な情報をデジタルサイネージに配信し、情報を閲覧した市民の都市の環境に関する理解、都市の環境改善に結びつく行動意欲の高まりなどを検証する。
実験は、三鷹市、藤沢市、サンタンデール市(スペイン)、ジェノバ市(イタリア)の協力を得て、開発した共通基盤の機能要素やアプリケーションが実フィールドでの運用に耐えられるかなどを確認する。
今後は、3月でプロジェクトを終了し、これまでの共同研究・実証実験の結果から、ClouTアーキテクチャの有用性、都市の課題解決に対する貢献度などを評価して、NICTより最終報告を公表する。プロジェクトのビジネス展開などについては引き続き議論を進めるとしている。