資生堂は1月20日、スギ花粉に含まれる抗原タンパク質「Cry j1」が肌のバリア機能を低下させることを発見したと発表した。

同成果は、皮膚科学誌「Archives of Dermatological Research」の2016年1月号に掲載された。

今回の研究では、肌のバリア機能への影響を明らかにするために、セロハンテープで組織培養皮膚表皮の角層を剥離して人為的にバリアを破壊したうえで、Cry j1溶液を塗布したときの水分量および細胞間脂質量を測定。この結果、水を塗布したときに比べて、Cry j1溶液を塗布した皮膚では水分蒸散量が顕著に高くなり、肌のうるおいが失われることがわかった。また、肌本来の油分としてバリア機能の維持・回復を担う細胞間脂質については分泌されにくくなり、細胞間脂質の供給が滞ることが明らかになった。

同社は研究の過程で、肌のバリア機能の低下を引き起こすスイッチとして、特定のタンパク質分解酵素や受容体が関与していることを示す結果も得られたと説明しており、今後も肌バリア機能の仕組み解明を推進していくとしている。

Cry j1を組織培養皮膚表皮に塗布したときの水分蒸散量

Cry j1を組織培養皮膚表皮に塗布したときの細胞間脂質の分泌