京都大学(京大)とパナソニックは1月20日、離れたところから非接触で高精度に心拍数および心拍間隔を計測できる生体情報センシング技術を開発したと発表した。

同技術では、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)レーダーのひとつであるパナソニックのスペクトラム拡散ミリ波レーダーで、呼吸や心臓の鼓動に応じた人体表面のわずかな動きを捉える。同レーダーを用いることで測定範囲を限定し、心拍計測に影響を与えるノイズを除去することで、高感度測定を実現すると同時に、1台のレーダーで複数人の動きの同時計測を可能にしている。

計測されるレーダー信号の中には、心臓の鼓動、呼吸、体動などに起因する信号が含まれるが、京都大学はレーダー信号の中の心拍信号について位相特徴点を抽出し、特徴点の時系列パターンから心拍間隔を推定する独自のアルゴリズムを開発。その結果、レーダー信号から呼吸信号、心拍信号を分離して、平均心拍数だけでなく、リアルイムで心拍間隔までを測定することが可能となっている。

同レーダーの電波は衣服などを透過するため、着衣時や就寝時に関わらず、呼吸や心拍を常時モニターすることができる。また今回、心拍間隔も正確に測定することが可能になったため、日常生活や仕事の作業を妨げることなく、心拍間隔変動から自律神経の状態を推定することも可能になった。

同社は今後、試作機を用いた実証実験を通じて、実生活状態での生体情報のカジュアルセンシングを実現するとともに、得られた生体情報を用いた健康管理、アドバイスなどのシステムに仕上げていくとしている。