ALSの原因凝集物を分解する仕組みを解明 治療法開発につながると期待

 

難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の原因とされるタンパク質凝集物を別の2タンパク質複合体が分解促進する仕組みを、京都大学医学研究科と和歌山県立医科大学の共同研究グループが見つけた。ALSの治療法につながる可能性があると期待される。研究成果はこのほど英科学誌に掲載された。

ALSは、全身の筋肉が徐々に動かなくなり、やがて歩行や呼吸などが困難になる厚生労働省指定の難病。人工呼吸器を装着することで内臓の機能や感覚、知能、視力や聴力などは保たれるケースが多い。発症割合は少なくとも年間10万人に1人とされ、患者は40~60代が多い。病態研究は少しずつ進んでいるが決定的な治療法はまだない。

最近の研究で、健常者では通常、細胞の核内にある「TDP43」と呼ばれるタンパク質が、ALS患者では核から細胞質に移動してばらばらに切断された状態で異常な凝集物をつくり、これが運動神経を侵す原因ではないか、と考えられるようになった。しかしこのタンパク質凝集物について詳しいことは不明だった。

共同研究グループの漆谷真(うるしたに まこと)京大准教授らは、TDP43とは別の、がんに関連する「CUL2」と「VHL」と呼ばれる2つのタンパク質の複合体が、核の外で異常な形になったTDP43を見つけると、それを標的として結合、ある酵素を使って異常な形のTDP43凝集物を分解しようとする仕組みがあることを見つけた。症状の進行に伴ってこの仕組みがまったく働かなくなると、CUL2とVHLの働きのバランスが崩れるなどし、異常な形のTDP43がさらにたまって症状の悪化につながるとみられる、という。

同グループは、今回ALSでの新たな役割が判明した2つのタンパク質相互の関係やALS発症、進行との因果関係などがさらに詳しく分かれば、新しい薬剤や治療法の開発につながる可能性がある、としている。

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