岡山大学は11月25日、脂肪肝や肝の線維化を抑制するタンパク質を同定したと発表した。
同成果は同大大学院医歯薬学総合研究科(医)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の和田淳 教授、片山晶博氏らの研究グループによるもので、11月19日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。
同研究グループは、肥満ラットの内臓脂肪組織に増加するタンパク質「Gpnmb」を発見。同タンパク質を内臓脂肪細胞、マクロファージに過剰発現させたマウスを高脂肪高蔗糖食で飼育し、野生型マウスと比較した結果、脂肪肝や肝の線維化が抑制されることがわかった。さらに解析を進めた結果、過剰発現させたGpnmbは肝臓内のマクロファージや星細胞に存在し、カルネキシンという物質と結合することで酸化ストレス、脂肪沈着、線維化を抑制することも明らかにした。また、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の中でも特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進行した患者で血清Gpnmb値が高値であることも見い出した。
近年、NAFLDが進行したNASHでは確定診断のために侵襲的な肝生検が必要となるが、今回の研究で同定したGpnmbがNASHの新たなバイオマーカーとして診断を容易にする可能性がある。