宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月16日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データに基づく月別二酸化炭素の全大気平均濃度を公表した。
「いぶき」は、環境省、国立環境研究所(NIES)、JAXAが共同で開発した温室効果ガス観測専用の衛星で、二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測することにより、その吸収・排出量の推定精度を高めることを目的とし、2009年1月の打ち上げ以降、現在も観測を続けている。二酸化炭素は高度によって濃度差があるため、地上観測点だけの濃度データでは地球大気の全体濃度を表すことできないが、「いぶき」は地表面から大気上端までの二酸化炭素の総量を観測することができる。
発表によれば、2009年5月から2015年7月までの「いぶき」観測データを用いて全大気の二酸化炭素平均濃度を算出したところ、月別平均濃度は北半球の植物の光合成が活発になる北半球の夏に下がり、光合成が弱くなる北半球の冬に挙がる季節変動を経ながら年々上昇し、2015年5月には約398.8ppmを記録した。また、推定経年平均濃度(季節変動を取り除いた2 年程度の平均濃度値)は2015年7月に約398.2ppmに達した。このまま上昇傾向が続けば、月別平均濃度および推定経年平均濃度ともに、2016年中には400ppmを超える見込みだという。
環境省、NIES、JAXAの3者は、今回算出した「いぶき」の観測データから解析・推定した月別「全大気」の二酸化炭素平均濃度を、NIES GOSATプロジェクトのWebページにおいて公開し、同衛星の運用が続く限り定期的に結果を更新するとしている。