ティントリジャパンは9月24日、オールフラッシュで構成した仮想化専用ストレージの新製品「Tintri VMstore T5000 オールフラッシュ シリーズ」の販売を開始した。2Uサイズの筐体内で最大5000台の仮想マシンの安定稼働が可能。従来から展開するHDDとフラッシュのハイブリッド構成ではカバーしにくかった筐体全体でのスループット/IOPS向上のニーズに応えた。あわせてストレージOSの最新版「Tintri OS 4.0」と、管理ソフトの最新版「Tintri Global Center 2.1」の提供も開始した。

「Tintri VMstore T5000 オールフラッシュ シリーズ」

新製品の提供にあたり9月17日に記者向けのラウンドテーブルを開催。米ティントリでChief Sales Officerを務めるマイクマクガイア(Mike McGuire)氏、ティントリジャパン職務執行者社長の河野通明氏、技術本部長の村山雅彦氏らが参加し、Tintriの事業概況や、オールフラッシュ製品投入の意義、新製品の技術解説を行った。

左から米ティントリ Chief Sales Officer マイクマクガイア(Mike McGuire)氏、ティントリジャパン職務執行者社長 河野通明氏、ゲストで登壇したネットワールド代表取締役社長 森田晶一氏

米ティントリ Chief Sales Officer マイクマクガイア(Mike McGuire)氏

まず、マクガイア氏がグローバルでのビジネス概況について「2015年現在、VMstore上で40万超の仮想マシン(VM)が稼働しており、来年には100万に達する見込みだ。出荷台数は2000台、顧客は800社に達した」と説明。2011年に仮想化基盤に特化したストレージTintri VMstoreをリリースし、2012年に日本法人を設立して以降、製品の機能やラインアップ拡充を進め、市場のリーダーとして認知されていることを強調した。

主力製品のVMstoreは、同一筐体内でvSphere、Hyper-V、RHEV、Openstack環境を同時稼働できるマルチハイパーバイザー対応や、VM単位でのワークロードの最適化(QoS設定)、ハイブリッド環境での99%のフラッシュヒット率などが大きな特徴だ。

適用領域は広く、サーバ仮想化、仮想デスクトップ、クラウド事業者のサービス基盤向けで、それぞれ3分の1ずつを占める。トヨタ自動車、ソニー、T-MEDIAホールディングス、NTT、京都大学、パナソニックなどがユーザーだ。

マグガイア氏は、グローバルでの製品展開について、「サーバ仮想化からハイブリッドクラウドへ進展していく顧客にニーズに応えてきた。現在は、クラウドマネジメント、データデータマネジメント、データセンター内でのスケールをテーマに製品開発を進めている。将来的には、VMのスケールアウト、VMのアナリティクス、ハイパーバイザーのさらなる統合、コンテナへの対応を進める方針だ」と説明した。

ティントリジャパン 職務執行者社長 河野通明氏

オールフラッシュ製品を市場に投入する意義は、職務執行者社長の河野氏が説明した。ティントリはそもそも、HDDとフラッシュを組み合わせ、VM単位でのQoSにより、コストパフォーマンスと安定稼働を実現することが特徴だ。既存製品で、企業のほとんどのワークロードに対応することができるという。

ただ、既存製品ではカバーしきれない用途もあった。具体的には、大規模なデータベースファームやデータウェアハウス(DWH)、ビッグデータ解析、3D CADのようなハイエンド用途向けVDI基盤、より高いVM集積度が求められるケースなどだという。

顧客のなかには、こうした新しいユースケースに特化してストレージを利用したいニーズがあり、また、オールフラッシュを指定した提案も増えてきた。そこで、ラインアップを拡充し、そうした用途にこたえることにしたという。「既存のハイブリッド製品とオールフラッシュ製品を8:2程度の割合で展開していく」(河野氏)とした。

ティントリジャパン 技術本部長 村山雅彦氏

既存のハイブリッド構成とオールフラッシュ構成の違いや適用範囲については、技術本部長の村山氏が説明した。同氏によれば、オールフラッシュ製品は、既存製品と比較して、2.8倍の仮想マシン集約率、1.9倍のランダムIO性能、1.8倍のスループット性能、仮想マシンあたりの消費電力が2分の1以下といった特徴があるという。

適用範囲は「大規模DWHなどワーキングセットサイズが通常のアプリケーションよりも大きな仮想マシン、3D CADのような大容量かつ高速性が必要なハイエンド用途向け仮想デスクップ、より省スペース、省電力など、高い集約率が求められるケースを想定している」(村山氏)とした。

Tintri VMstoreのラインアップ

Tintri VMstoreの適用範囲

ネットワールド 代表取締役社長 森田晶一氏

また、記者説明会には、パートナーのネットワールド 代表取締役社長 森田晶一氏がゲストスピーカーとして参加。「昨今の仮想化、クラウド環境向けストレージでは、アプリケーションやデータの中身を把握する機能へのニーズが顕在化しつつある。たとえば、写真やビデオなどのファイルにタグをつけて細かい粒度で管理できるようにするものだ。ティントリは、そうしたVMアウェア、アプリケーションアウェアなストレージのリーダー的存在だ」と話し、ティントリの特徴をマーケットに訴求していくと訴えた。

オールフラッシュ新製品は、最大5000VM/容量73TBに対応する「T5080」と、最大2500VM/容量36TBに対応する「T5060」の2機種をラインアップ。

「Tintri VMstore T5000 オールフラッシュ シリーズ」のスペック

T5000シリーズに搭載されるOSである最新版のTintri OS 4.0では、新たにT5000シリーズ向けにUI変更したほか、vSphere環境でのファイル単位でのリストア機能の提供、Hyper-V環境でのRestore VMとRefresh vDisk対応、Hyper-Vホスト自動検知、SMB3暗号化・マルチチャネル対応などを行った。

Tintri OS 4.0の新機能

また、最新版のTintri Global Center 2.1では、リアルタイム分析の強化、複数のVMを対象にしたグループ単位でのQoS設定、ストレージ間移動でのポリシーの維持、PowerShellとREST APIでの複数ストレージのノード管理などを新たに追加した。

Tintri OS 4.0の新機能

参考価格(1ノード、税別)は、Tintri VMstore T5080が7,400万円、同T5060が5,000万円。Tintri Global Center 2.1は80万円から(いずれも税別)。