国立科学博物館は9月1日、「国立科学博物館重要科学技術仕様(愛称:未来技術遺産)」に、ソニーの「AIBO」など25件を選定した。

「未来技術遺産」は日本の科学技術の歴史を示す事物で、科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの、ならびに国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたものを、国立科学博物館が選定し登録するというもの。2008年から毎年発表されており、昨年は日本初の噴流式洗濯機「電機洗濯機 SW-53」や富士フイルムの「フジカラー 写ルンです」などが選出された。

今年は「AIBO」のほか、世界初の産業レーザディスクプレーヤであるパイオニアの「PR-7820」、海軍航空本部が製作した「海軍航空機用塗料識別標準(色見本帳)」などが登録された。

ソニーの「AIBO」 (提供: 国立科学博物館)

2015年度登録の「未来技術遺産」は以下の通り:

名称 製作者 製作年
エンタテインメントロボット AIBO ERS-110
― 家庭用として初めて事業化され販売されたエンタテインメントロボット ―		 ソニー 1999
ボトル用自動販売機SVM-48
― 清涼飲料のヒットとともに普及した自動販売機 ―		 三洋電機 1968
微粉炭ディーゼル機関
― 日本のディーゼル機関研究の多様性を示す証左 ―		 赤阪鐵工所 1939
海軍航空機用塗料色別標準(色見本帳)
― 日本海軍航空機用の色見本 ―		 海軍航空本部 1942
単純開放サイクル1軸式ガスタービン(AT900)
― 非常用ガスタービンの普及に貢献 ―		 ヤンマー 1984
肩掛型テープ録音機 PT-1
― 日本初の肩掛け型録音機 ―		 東京通信工業株式会社(現:ソニー 1951
コンパクト・カセット式ポータブルステレオ録音機「カセット デンスケ」TC-2850SD
― 生録ブームに火をつけた録音機 ―		 ソニー 1973
世界初の民生用PCMプロセッサー PCM-1
― 世界初の民生用PCMプロセッサー		 ソニー 1977
カラーネガフィルム「フジカラー F-II400」
― 世界初の高感度(ASA400)カラーネガフィルム ―		 富士フイルム 1976
シンフォニーレーベル長唄「鞍馬山」レコード
― 国産初のSPレコード ―		 日米蓄音器製造 1909
国産蓄音器(1)ニッポノホン35号 (2)ラッパ内蔵型蓄音器ユーホン1号
― 国産最初期の蓄音器 ―		 )日本蓄音器商会(現:日本コロムビア株式会社) (1)1910 (2)1911
卓上型フィルモン/円板兼用再生機
― 歴史に埋没した日本の独創録音技術 ―		 日本フィルモン 1937
LP録音機用カッターヘッド( 型式名:TYPE C-28-G )
― 日本初のモノラルLP用カッターヘッド ―		 日本コロムビア 1953
デジタル録音機とその制作レコード(1)PCM・デジタル録音実験レコード(型式名:NCB-7003/NCC-8004-N) (2)レコードマスター用PCM /デジタル録音装置(型式名:DENON DN-023R) (3) PCM録音レコード(型式名:NCC-8501-N)
― 世界初の録音系デジタル化 ―		 日本コロムビア (1)1971 (2)1972 (3)1972
可搬型PCM録音機(型式名:DENON DN-034R)
― デジタル録音の普及に貢献 ―		 日本コロムビア 1978
音場型/音圧型録音用マイクロフォン(型式名:B&K社 Type 4006)
― レコード制作用マイクの革新 ―		 ブリュエル&ケアー 1979
PR-7820 (業務用LDプレーヤ)
― 世界初の産業用レーザディスク(LD)プレーヤ ―		 パイオニア 1979
LD-7000 (民生用LDプレーヤ)
― 世界初の半導体レーザを使用したレーザディスク(LD)プレーヤ ―		 パイオニア 1983
CLD-9000
― 世界初のレーザディスク(LD)とコンパクトディスク(CD)の両光ディスクが再生できるコンパチブルプレーヤ ―		 パイオニア 1984
パソコン MZ-80K
― 国産初期の8ビット・パーソナル・コンピュータ ―		 シャープ 1978
パーソナルコンピュータ PC-8001
― 国産初期の8ビット・パーソナル・コンピュータ ―		 日本電気 1979
ベーシックマスタ
ー MB-6890― 国産初期の8ビット・パーソナル・コンピュータ ―		 日立製作所 1980
イオン交換樹脂の工業生産に関わる諸資料
― 日本初のイオン交換樹脂関連資料 ―		 山田化学工業 1939頃~1946頃
タカヂアスターゼ
― 日本発の消化酵素・漱石も愛用した胃腸薬 ―		 三共合資会社(現:第一三共株式会社) 1909
スタチンおよびその発見に関する月報と実験ノート
― 世界の成人病患者の救世主 ―		 遠藤章 他 1971～1976、1978