理化学研究所(理研)は8月4日、ExaScalerおよびPEZY Computingと共同で一部設置を完了させた2PFLOPS級の液浸冷却スーパーコンピュータ(スパコン)「Shoubu(菖蒲)」の初期計測実験において計測された性能数値の1つである7.03GFLOPS/Wが、2015年8月1日付のスパコンランキングの消費電力性能部門「Green500」において、世界第1位を獲得したことを明らかにした。

菖蒲は2015年6月末より試験稼働を開始。初回の計測実験において、512個のPEZY製メニーコアプロセッサ「PEZY-SC(716MHz駆動)」を利用して計測された1W当たりの消費電力性能値7.032GFLOPS/Wが、世界1位として認定された。この消費電力性能値は、世界で初めて7GFLOPS/Wを超えたものとなるという。

また、菖蒲は試験稼働の構成確認実験時に、最終構成の6割に当たる768個のPEZY-SCを用いて最終仕様の6割程度の性能(500MHz駆動)で計測された演算性能値(Rmax)となる412.7TFLOPSが、2015年7月13日付のスパコンランキングの絶対性能部門「Top500」においても世界第160位(国内20位)に認定されている。

なお、理研では、今回の初期計測実験により得られた計測結果から、このシステムが次世代のスーパーコンピューティング環境において特に重要となる消費電力性能の観点から、大きな可能性と将来性を有していることが示唆されたとしており、今後、菖蒲全系の設置完了に向けた作業を進めつつ、さらなる高い消費電力性能値と演算性能値を計測出来るように最適化作業を推し進めていく計画としているほか、6カ月後をめどに菖蒲の第1回目の仕様更新も予定しているとする。

PEZYのプロセッサを搭載した液浸冷却システム「ExaScaler-1.4」5台で構成される液浸冷却スパコン「Shoubu(菖蒲)」の全景

「ExaScaler-1.4」を構成するExaScalerの液浸冷却専用、高密度演算ボード群「Brick」

「ExaScaler-1.4」に使用されているPEZY Computingのメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」