SAPジャパンは7月2日、「SAP HANAプラットフォーム向けサービスパック10(SPS10)」を提供開始した。新製品では、IoTとのエンタープライズ・レベルでの接続、ビッグデータのより効果的な管理、企業全体にわたるデータの高可用性、新しいアプリケーションの開発などのための新機能を提供するという。

IoTとのエンタープライズ・レベルでの接続では、新しいリモート・データ同期機能により、エンタープライズとネットワーク末端のリモート・ロケーション間でデータを同期できるとしている。

1,200万超のライセンス実績を持つというエンタープライズ対応埋め込み型データベース・テクノロジーである「SAP SQL Anywhere」スイートを利用して、エンタープライズとリモート・ロケーション間でSAP HANAリモート・データ同期を実行する、IoTおよびデータ集約型モバイル・アプリケーションの開発も可能になったとのこと。

この機能の利用により、小売店やレストランなどのリモート環境から、エンタープライズデータの取り込みやアクセス、またSAP HANAへのフィードバックを安全に行えるとしている。

さらに、IoTデータを収集して分析すれば、船舶やポンプ場、鉱山での予防保全のような遠隔地での重要な作業を、低帯域幅接続や断続接続で、場合によってはオフライン中であっても実施できるという。

ビッグデータの効果的な管理では、SAP HANAの拡張したスマート・データ・インテグレーション機能により、ClouderaやHortonworks、MapRといったHadoopディストリビューションを導入して、ビッグデータを継続的に利用できるとのこと。Spark SQLによる高速データ転送、SAP HANAおよびHadoopのクラスタ管理を、Apache Ambariの利用により単一のユーザー・インタフェース(UI)で可能という。

IT部門はさらに、新しいルール・ベースのデータ移動機能を利用して、ビジネス要件に基づいて複数のストレージ階層間でデータを移動できるとしている。たとえば、1年分のデータをメモリーに保存するルールを設定し、古くなったデータをディスク・ストレージまたはHadoopに移動するルールを設定できるとのこと。

また、Webベースの開発ワークベンチでデータのクレンジングと名寄せを実行可能な、SAP HANAの新しいスマート・データ・クオリティ機能により、収集しているデータの信頼性を高めることができるとしている。

高可用性とスケーラビリティの強化では、高可用性と耐障害性の新しい機能によってデータセンターの正常稼動を確保し、常時オンのミッション・クリティカル・アプリケーションへの対応を支援するという。

1対nの非同期レプリケーション、ダイナミック・ティアリングの自動ホスト・フェイルオーバー、増分バックアップなどの機能は、システムのダウンタイムを短縮し、企業全体にわたって真の事業継続性を促進するために役立つとしている。

さらに企業は、SAP HANAのNUMA(Non-Uniform Memory Access)対応アーキテクチャを利用して12TBを超えるメモリーの大規模システムをサポートすることで、巨大なデータセットを高速処理し、全体のビジネス・パフォーマンスを改善できるという。ワークロード管理の機能拡張によってワークロード混在時のパフォーマンスを向上させ、リソースの最適化をより効果的に行えるとのことだ。

新しいアプリケーションの開発に関しては、SAP HANA SPS10の拡張したデータ処理機能の利用により、高度な分析機能を備えた強力なアプリケーションの開発を加速できるとしている。また、SAP HANAのテキスト・マイニングをSQL構文にも拡張し、次世代アプリケーションを開発しやすくなったという。

SAP HANAの新しい空間処理機能拡張には、SAP HANAモデルやSQLScriptでの多次元オブジェクトおよび空間記述のサポートを含んでおり、ビジネス・アプリケーションに魅力的なビジュアル化機能を組み込むことができるとしている。