VAIOは21日、同社が従来「VAIO Prototype Tablet PC」として展示してきた試作PC「VAIO Z Canvas」の製品版を発表した。発売は5月29日。価格はオープンで、個人向け店頭モデルの予想価格は税別249,800円前後。

VAIO Z Canvas

ディスプレイに2,560×1,704ドットの高解像度12.3型液晶、グラフィックスにIntel Iris Proを採用した、クリエイター向けのタブレットPC。米国のクリエイター向けイベント「Adobe MAX」や放送関連展示会「Inter BEE 2014」など、多くの展示会やイベントで試作を展示し、実際に使用したクリエイターの声を取り入れて商品化された。

本体にはワイヤレスキーボードと専用デジタイザペンが付属する

付属のペンは1,024段階の筆圧検知に対応。また、ロック画面でも直接「OneNote」のノート作成画面を起動する新機能を備える

12.3型の液晶ディスプレイは、防汚・指紋防止ASコーティングされたグレア仕様。「正確な色表示ができるディスプレイが大事」という需要に応え、Adobe RGBカバー率95%の広色域ディスプレイを採用し、専用のカラーマネジメントモードも用意した。液晶は視差の少ないダイレクトボンディング仕様。付属のペンは1,024段階の筆圧検知に対応し、新開発の4点筆圧カーブ調整機能で、好みのペン入力感覚を設定できる。

本体は13.6mm厚の薄型ながら、プロセッサにTDP47WのIntel Core i7-4770HQを採用。冷却用に新開発のファン3基を内蔵し、低回転で個別に周波数制御することでファンノイズを抑制した。また、SDカードスロット近くには熱センサーを備え、画像取り込みなどによる発熱に応じてパフォーマンスを調整する。

試作のスケルトンモデル(左)と基板(右)。新開発のファン3基を内蔵している

背面のスタンド部も同機の大きな特徴のひとつ。VAIO独自の「フリースタイルスタンド」を採用。ばねやカム、ダンパーの配置や強度を細かく調整し、片手で押し戻しができる機構を実現している。

付属のワイヤレスキーボードは日本語配列のテンキーレスで、オプションで英語配列モデルも用意。キーピッチは約19mm、ストロークが約1.35mm。描画やレタッチ用途などでは、キーボードが前面にない方が良い場合があるとして、自由に設置できるワイヤレス仕様とした。

付属のスタンドは、片手で押し戻しができ角度を無段階で調節できる独自機構となっている

キーボードは日本語配列のテンキーレス。キーピッチは約19mm、ストロークが約1.35mm

ソフトウェア面では、独自のショートカットメニューを用意。本体上部の「Lボタン」を押すと、アプリケーションに応じたショートカットキーが表示され、アクティブなアプリと重ならないよう画面端に自動でフィットする(フィットオフ設定も可能)。アプリ独自の機能のほか、ファン音の制御や筆の固さなど、本体に関するショートカットを用意するモードも搭載する。

個人向け標準仕様モデル(VJZ12A9AAF1S)の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-4770HQ(2.20GHz)、メモリが8GB(増設不可)、ストレージが256GB SATA3 SSD、グラフィックスがIntel Iris Pro Graphics 5200(CPU内蔵)、光学ドライブが非搭載、OSがWindows 8.1 Pro Update 64bit版。

主なインタフェースは、Gigabit Ethernet対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0、USB 3.0×2(1基は給電機能付き)、HDMI×1、MiniDisplayPort×1、ヘッドホン出力、SD/SDHC/SDXCカードスロット、92万画素Webカメラ。

バッテリ駆動時間は約7.2~8.5時間(JEITA 2.0)。本体サイズはW301×D213×H13.6mm。重量は本体が約1.21Kg、キーボード部が約340g。カラーはシルバーのみ。

VAIO OWNER MADEモデルでは、メモリ16GB・ストレージ1TB PCIe SSD(512GB×2)構成を税別399,800円、メモリ16GB・ストレージ512GB PCIe SSD(512GB×1)構成を税別319,800円(いずれも想定売価)で用意。+5,000円で英語配列キーボードの選択も可能だ。

本体左と本体右のインタフェース。MiniDisplayPortとHDMIはいずれも4K出力に対応する

製品化にあたりガラス強度試験(左)や本体のひねり試験(中央)、落下試験(右)も行われている

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