カスペルスキーは5月1日、小規模企業がサイバー攻撃を受けた2種類の事例を同社のブログ「Kaspersky Daily」に公開した。

競合企業からマルウェア攻撃を受け、瀕死の状態に

とある宝石を販売する企業は、外部からセキュリティ侵害を受け、自社サイトの訪問者が次々とマルウェアに感染する事態に陥った。企業内にマルウェアを対策できるスタッフがいなかったため、外部のITスペシャリストに問題を解決してもらうように依頼した。

マルウェアはWebサイトから駆除できたがすぐに復活した。犯人はサイトへのアクセス権を持っていたため、コードを消されても復活できたためだ。

そのため、企業は完全復旧までに多くの時間がかかった。検索エンジンのインデックスや検索結果の表示順位を取り戻す必要があったためだ。Googleはこの企業のサイトをマルウェア感染サイトとしてブラックリストに載せ、インデックスから削除した。別の検索エンジンでも同じことが行われていた。

その間、企業の業績は大きく落ち込み、感染前まで回復するまでは1年ほどかかったという。

調査の結果、最初に感染したのは経営者のPCだったことがわかった。経営者が使っていたのは無料のアンチウイルスソフトで、十分に機能していなかったという。ハッカーは経営者のPCにマルウェアを埋め込み、会社のサイトのアクセス情報を盗み出した。

経営者は、競合からの標的型攻撃だと確信していた。経営者はこの経験を通じ、企業データのセキュリティに直接関係すること(パスワードの安全な管理、トラッキングやキー入力監視を行うマルウェアの存在)を数多く学ばならけばならなかった。

暗号化マルウェアに攻撃され、すべてのデータを失う

とある会計事務所がランサムウェア「CryptoLocker」の攻撃を受け、すべてのデータに強力な暗号がかけられた。これによりデータにアクセスできなくなり、事業が継続が困難になった。

CryptoLockerは、侵入したPCのデータを手当たり次第に暗号化し、暗号解除と引き換えに巨額の身代金を要求してくる。非常に強力な暗号化技術が使われているため、身代金を支払うか、それがダメなら暗号化前のデータをバックアップから復元するしかない。

事務所のIT管理者は、ランサムウェアが見つかった途端に社内サーバーのデータをすべて削除した。これにより、ランサムウェアウェアを消去できたものの、重要なデータも一緒に削除されてしまった。

結果的に重大なミスをした管理者はクビになってしまった。その後、データ復旧を試みたがすべて失敗に終わり、最終的には事務所は倒産したという。

これらのケースはいずれも欧米諸国だが、日本でも中小企業を狙ったサイバー攻撃は増加している。対岸の火事と思わず、対策を講じることが最善の方法だろう。