大阪市立大学(大阪市立大)は4月15日、胃潰瘍治療薬であるレバミピドが低用量アスピリン製剤(LDA)による小腸傷害に有効であることを明らかにしたと発表した。
同成果は同大学医学研究科消化器内科学の渡邉俊雄 准教授、大阪医科大学、京都府立医科大学、佐賀大学との共同研究によるもので、4月15日付(現地時間)の米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。
LDAは心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症の予防に用いられる抗血小板薬で、日本では500万人前後が常用していると推定されている。同薬剤を用いた治療法は消化管傷害引き起こすことが知られており、近年の研究で、LDA常用者の半数以上で小腸にビランや潰瘍が認められることが報告された。このLDAによる小腸傷害の治療法は確立されておらず、重症化するとLDAを中止せざるを得ないことが問題となっている。
今回の研究では、心筋梗塞や脳梗塞の予防目的にLDAを長期間服用していて、小腸に3個以上の粘膜欠損を有する患者をプラセボ群とレパミド群に分け、薬剤を8週間投与した後に内視鏡検査を施行して、投与前後での粘膜欠損の完全消失率を評価した。
その結果、粘膜欠損数はプラセボ群では薬剤投与前後で差が無かったが、レバミピド群では投与後に有意に減少していたほか、粘膜欠損の完全消失率もレバミピド群がプラセボ群より約4倍高値だった。また、両群ともに薬剤投与による副作用の発症例は認められなかった。
レバミピドは20年以上にわたり胃炎、胃潰瘍の治療薬として広く使用されている安価な薬剤であり、安全性も確立されている。今回使用したレバミピドの用量は通常の3倍量だったが重篤な副作用は認められず、高用量でも安全であると考えられる。今後は、最も重症であり臨床的にも重要とされるLDA起因性出血性小腸潰瘍に対する高用量レバミピドの治療効果を評価していくとしている。