東京大学は4月9日、ラットを用いた実験で「6つ目の新感覚」を創ることに成功したと発表した。

同成果は東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らによるもので、米科学誌「Current Biology」オンライン版に掲載された。

哺乳類は視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感を使って生活しているが、本来ならば完治することのできない「6つ目の感覚」を受け取ったとき、その意味を理解し有効に活用できるかはわかっていなかった。

今回の研究では、地磁気を感知し、刺激電極を通じて脳へと刺激を送る微小な「磁気センサー脳チップ」を開発。このチップを目の見ないラットに埋め込むと、2日間の訓練で、あたかも目が見えているかのように迷路の中の餌を見つけることができるようになった。これにより、本来は身体に備わっていない感覚でも、脳は柔軟かつ迅速に適応し、有益な情報源として活用できることが証明された。

今回の結果は、脳の潜在的な能力を示唆するとともに感覚獲得の普遍的なメカニズムの解明につながる可能性がある。また、視覚障がい者が使う白い杖に、方位磁気センサーを設置するなど、感覚欠損の治療に向けた新しいアプローチを拓くことも期待される