先日のApple TVの値下げとHBO Now発表に続き、Apple自身がTV放送のサブスクリプション配信サービスに参入するという話題が出ているが、同社はさらに踏み込み、いよいよ噂の「"真"のApple TV」リリースに向けた動きを見せつつある。従来のApple TVハードウェアそのものの機能を大幅強化し、単体でSiriによる音声制御やHomeKit連携による家電制御など、より"モダン"なハードウェアやOSの機能を踏襲していくようだ。
同件はBuzzFeedでJohn Paczkowski氏が関係者の話として報じている。先日の発表会ではApple TVの価格の99ドルから69ドルへの値下げが発表され、より値頃感が高くなっている。だが実際にApple TVのハードウェアの中身を鑑みれば、若干の構成変更によるアップデートこそあったものの中身自体はここ3年間変化しておらず、さらに「内蔵ストレージの最小限化によるストリーミング動作専用」という現在のコンセプトにつながるモデルが発売されてから実に5年近くメジャーアップデートが行われていない。
当初はTV接続可能なストレージ内蔵メディアプレイヤーの性格が強かったApple TVだが、現在では搭載プロセッサも最低限のネットワーク通信とメディアプレイバックが可能な廉価バージョンが採用され、とにかくコストを押さえ込む方向で提供が行われている。これを"よりモダンなOS"と"より強力なハードウェア"で模様替えし、いま再び「Appleが考えるリビングルーム向けのメディアボックス(STB)」として機能するよう改修が進んでいるというのが、前述Paczkowski氏の伝える関係者の話だ。
同氏の記事でも伝えているように、現在Apple TVには今年後半にもスタートするといわれるTV配信サービスに加え、Apple TV向けのApp Storeとアプリ実行環境の提供に向けたさまざまな準備が進んでいるといわれる。前出のように、現状のApple TVにはこうしたリッチなアプリ実行環境を望むべくもないため、何らかの形でハードウェアの改修を行うことが必須となる。少なくとも最新のiPadクラスの性能が必要になるとみられるため、本体価格も従来の69~99ドルではなく、一気に400~500ドル前後の水準まで上がる可能性が高くなると考えられるが、こうした値上げ等を経てもなお購入に踏み切るだけの価値を見出せる工夫をAppleには期待したい。
なお新ハードウェアの登場時期だが、可能性としてはTV配信サービスのスタートするといわれる今秋が最も高いと考えられる。いままでであれば「発表即発売」でも問題なかったが、今回はアプリ対応も含めサードパーティの協力が必須になるとみられ、実際の発売とサービス開始まで期間を置く可能性が高いと筆者は予想する。そのため、6月開催とみられるWWDCで製品と基本コンセプトを発表し、実際の提供は9~10月となることも考えられるだろう。いずれにせよ多数の関係者が存在することもあり、WWDC前後には何らかのリーク情報が出てくる可能性が高いと考える。