Texas Instruments(TI)は、3.3V単一電源でダイナミックレンジ110dB、 サンプリング周波数192KHzを達成した高性能オーディオ用A/Dコンバータ「PCM1865」ファミリの6つの新製品を発表した。

同ファミリの各製品はマルチチャネル製品を含み、ポータブル向けオーディオコーデックの標準的な機能を搭載するとともに、これまで単機能プロオーディオ向けA/Dコンバータだけが備えていた高いレベルの性能を提供する。

同ファミリは、3.3V単一電源で動作し、5Vアナログ専用電源が不要なことからシステムの小型化と効率の向上を実現する。またハムやグラウンドノイズ、入力端子の感度設定とアッテネータの切り替えなど、オーディオシステムレベルの数多くの設計課題をすべて1チップで解決する。高い集積度により、Bluetoothスピーカー、サウンドバー、ミニコンポ、PC、ビデオ・セキュリティ・システムのほか、車載インフォテインメント機器、ヘッドユニット、外付けアンプ、アクティブ・ノイズ・キャンセレーション・システムなどにも適している。

6つの新製品はすべてピン互換で、2チャネルと4チャネル、ソフトウェア制御とハードウェア制御の選択が可能で、設計の自由度を向上している。6つの新製品のうち3製品は110dBのダイナミックレンジ性能を提供。2.1Vrms信号のダイレクト入力が可能なため、信号経路が簡素化し誘導ノイズを低減。さらに、ソフトウェア制御製品の自動クリップ抑圧機能は、入力感度を最適化しシステム上で最良のSNR特性を実現した。

7.8mm×4.4mmの30ピンTSSOPパッケージを採用し、同等機能の製品に対し最大45%のサイズ低減。また、同等製品と比較して最大20個の部品を削減している。クロック生成用PLL、プログラマブル・ゲイン・アンプ、汎用フロントエンドを内蔵しており、低レベルのマイクロフォン入力から4.2Vrmsの差動入力まで、さまざまな入力信号をサポートする。

特許出願中のTIのEnergysense技術を採用し、EUのEcodesign指令の動作要件への適合をサポート。オンチップのセカンダリA/Dコンバータの使用により、スリープやウェイクアップ動作の信号スレッシュホールドレベルを簡単に設定でき、EU指令で求められる高い電力効率の実現を可能にする。

評価モジュール「PCM1865EVM」により、同ファミリを使った回路設計をすぐに開始できる。同モジュールは参考価格149ドルで供給中。なお、同ファミリの1000個受注時の参考価格は1.40ドルから。

高性能オーディオ用A/Dコンバータ「PCM1865」ファミリ