スマートメディカルと東京大学は11月27日、スマートフォンのアプリケーションを活用したメンタルヘルスケアの有効性を検証する臨床研究に合意し、学生を対象に実験を開始したと発表した。また、今回の研究での知見を活かし、スマートメディカルが12月下旬にスマホアプリをリリースする予定という。

今年6月に労働安全衛生法(ストレスチェック義務化法案)が成立した。この法律は、事業所を対象として、従業員のメンタルヘルスケアを前提としている。今回、両者は社会人デビュー前の学生も研究活動や人間関係、就職活動などで強いストレスを受けているため、学生のストレス状態を手軽に計測する方法が必要と考え、スマートメディカルが、気分状態を簡易に記録し、かつその振り返りを補助するスマホアプリを開発した。同アプリでは、声を吹き込むだけで気分状態がリアルタイムで評価され、同時にその時に見える風景や人、物などと合わせて記録される。そして後日、この写真データにリンクされた気分状態を見ることで、使用者自身で当時の気分状態を振り返ることができる。例えば、その使用者の気分が落ち込んでいるときに、過去に蓄積された写真データから自動的に選択された"幸せだったときの写真"を見ることで、本来の自分の気分状態を振り返ることができ、簡易にストレスコーピング(ストレス対処)の方法を見つけることができる。

なお、今回の研究では、スマホを使って手軽に学生の気分情報の取得と自己評価を行わせることで、利用者自身でのストレスコーピング方法の一助となることを期待しているという。さらに、スマートメディカルはこの実験結果にもとづき、改正安衛法が目指す、職場でのストレスチェックやセルフケアなどにも応用できるスマホアプリをリリースする予定。

スマートメディカルが開発したスマホアプリの使用例。(1)楽しいできごとがあったら、印象的な写真を撮影する。(2)音声と一緒にハピログ(仮)に保存しておくと、自動的に気分の順に整理される。(3)落ち込んだ時には、アプリのアルバムを立ち上げ、気分の良い順番の写真を眺める。(4)元気を取り戻して、前向き気分になる