NECは11月13日、住宅やビルなどに分散して設置された100万台以上に及ぶ多数の蓄電池や電気自動車(EV)の蓄電池をクラウドから充放電制御し、需要側の電力制御(デマンドレスポンス:DR)を行うことで、電力事業者が既存の電力系統と同等のリアルタイムな電力需給調整を実現する「仮想統合制御ソフトウェア」を開発したと発表した。

同ソフトウェアは、独自の階層協調制御システム上で動作し、クラウド側から蓄電池の状態を集中管理する。需給変動の不規則性を把握し、充放電の最適分配処理を行う技術により、多数の蓄電池制御において、発電所が最短秒以下の単位で電力需給調整を行うガバナフリー制御や負荷周波数制御といった、既存の電力系統と同等のリアルタイムな電力需給調整機能を実現する。また、蓄電池の劣化特性を考慮しながら適切な配分で充放電が可能なため、約2倍となる蓄電池の長寿命化を実現する。さらに、自動デマンドレスポンス(ADR)の最新規格OpenADR2.0bに対応し、工場やビルなどの大口需要家だけでなく、複数の異なるアグリゲータなどが管理する蓄電池との連携による電力需給調整も可能になる。これらの技術により、電力会社・企業・家庭などの多数の蓄電池が連携し、既存の電力系統と同等レベルの電力需給調整が可能な、次世代電力システムの実現に貢献するとしている。

「仮想統合制御ソフトウェア」による次世代電力システムの模式図