iFixitは10月20日(米国時間)、Appleの「iPad Air 2」分解レポートを公開した。フロントガラスとタッチセンサー、そして液晶パネル部分の一体化のほか、バッテリ容量の前モデルからの減少、2GBメモリ搭載など、製品発表時ならびに後の詳報から判明した事実が再確認できている。

詳細は分解レポートの記事と下記のYouTube動画リンクから確認いただくとして、ここではダイジェストでポイントを紹介する。

「iPad Air 2」では前モデルにあたる「iPad Air」と比較して、本体面積はほぼそのままに、厚みが6.9mmから6.1mmと12%ほど薄くなっている。ここからまず予測できるのは、Appleがいうようにガラス面+タッチセンサー+液晶パネルを直接貼り合わせて中間層をなくすことで薄型化を実現したという事実のほかに、「バッテリ容量の削減」という可能性が浮かび上がってくる。

iPad Air 2は初代に比べて12%の薄型化を実現

ガラス面+タッチセンサー+液晶パネルを直接貼り合わせて中間層をなくし薄型化を実現

公称バッテリ駆動時間が前モデルと同等のため、この実現のためには省電力化を達成しなければならないが、iPad Air 2の場合は製造プロセスの微細化が前モデルの「A7」に比べてさらに進んだ「A8X」の採用と、前述ディスプレイ技術の向上による輝度の低減で消費電力削減に成功した2点が考えられ、結果としてバッテリ容量を削減してさらに薄型軽量化を目指したのかもしれない。

iFixitが行った分解の過程は、ちょうど1年前のiPad Air (LTE)とほぼ同様で、ディスプレイ側のフロントパネルと本体背面の接着部分の材料を熱で解かし、部品を1点1点外していく手法を採っている。iFixitによれば、Air 2ではフロントガラスと液晶パネルが一体化したことにより、分解手順が少し楽になっているという。またバッテリとロジックボードが一体化していないため、こちらも分解も現時点では容易とのこと。

部品としてのトピックは、前述のようにバッテリサイズがAirの32.9Whから27.62Whと16%ほど減少している。第4世代のiPadが42.5Wh(11560mAh)の超大容量バッテリを搭載していたことを考えれば、このバッテリサイズの大幅削減と薄型軽量化は技術的に驚くべき進化だといえる。

このほか、強化されたカメラモジュールやTouch IDセンサーもポイントとして挙げられる。新事実として再確認されたのは、Elpida/Micron製の搭載メモリが2GBと、従来比で2倍に増量されており、OSやアプリの動作がかなりスムーズになると予想されることだ。

またiPhone 6/6 Plusで搭載が確認されていたNXPの「65V10」というNFCコントローラが、Air 2でもまた搭載が確認されている。「Apple PayのNFC機能がないのにNFCコントローラ搭載?」と疑問に思うかもしれないが、このNFCコントローラはNFC機能ではなく、チップ内のいわゆる「セキュアエレメント(SE)」の機能を利用するために存在している。Passbookのカードとして登録されたクレジットカード情報はこのSE内に記録され、オンラインやアプリでの支払いに利用されることになる。Air 2がNFC機能そのものを持っていないのは、NFCアンテナが存在しないことと、iPhone 6/6 Plusには見られた「AMS AS3923」というNFC通信を増幅するモジュールが存在していないことからも確認できる。

以上を踏まえた、iFixitの「iPad Air 2」における「分解・修理のしやすさ」を評価したスコアは10点満点中の「2」と、「かなり修理が困難」という位置付けになっている。iFixitによれば、まだ部分的に分解のしやすさは残っているものの、ディスプレイが1つのモジュールとしてまとめられたことにより、ガラス破損時の交換における他の部品を破壊するリスクと、一度に交換すべきモジュールが増えたことでのコスト増要因が大きいという。