Texas Instruments(TI)は10月20日、SAR(逐次比較型)A/Dコンバータ(ADC)に高耐圧製品ファミリとして、8チャネルの「ADS8688」、4チャネルの「ADS8684」を追加したと発表した。

同製品は、電源電圧が単一5V、入力電圧範囲が±10.24Vで、システムの電源要件を簡素化する。また、ゲインドリフト、オフセット電圧、オフセットドリフトが業界最小クラスで、最高精度クラスの内部リファレンスを提供し、産業機器向けの温度範囲で、高いレベルの精度を実現する。さらに、「ADS8688」ファミリは、システムレベルの性能の向上により、校正なしで99.9%を超える精度を実現する他、ゲインドリフトは4ppm/℃、オフセットドリフトは3ppm/℃で、全温度範囲でシステム校正を不要にし、開発期間を短縮する。加えて、高精度リファレンスとリファレンスバッファの内蔵により、温度ドリフトをさらに低減。産業機器向けの-40℃~+125℃の温度範囲で、外部回路なしで高い精度を実現している。

この他、PGA(プログラマブルゲインアンプ)やドライバアンプ、マルチプレクサ、電圧リファレンス、リファレンスバッファ、SAR型ADCなど、20個もの機能ブロックを1チップに集積しているのに加え、ADCとの直接インタフェースのための外部入力チャネルを提供する。こうした高集積化により、シグナルコンディショニング回路なしで多様な型式のセンサとの直接接続が可能となっている。これらにより、パワーオートメーション、低/中電圧リレー保護、監視、ファクトリオートメーション、PLCなどの、広範なマルチチャネル産業機器のシステム精度を向上させるとしている。

なお、「ADS8688」ファミリは、9.7×4.4mmの38ピンTSSOPパッケージで供給される。現在、16ビット品が供給中で、12/14ビット品は2015年に供給開始の予定。

高耐圧SAR型ADC 8チャネルの「ADS8688」