避妊の方法の1つとして、「安全日」の活用を考える人は少なくない。しかし、安全日とは本当に「この日にセックスをしても妊娠しない日」なのだろうか。産婦人科医で性科学者の宋美玄医師に聞くと、安全日と危険日は存在せず、さらには排卵日自体はそれほど妊娠しやすいタイミングでもなく、その前日や前々日のほうが妊娠しやすいとのことだった。

生理開始日も排卵日もあくまで結果論

排卵日って最も妊娠しやすい日ではないの!?

生理周期における「安全日」(妊娠しにくいとされる期間)は、存在しないと考えるべきです。生理直前を安全日とすることもあるようですが、生理開始予定日というのはあくまで前の生理周期までのパターンで仮定した日のことで、予定通りのタイミングでスタートするかどうかは誰にもわからないのです。

一方、俗に言う「危険日」(妊娠可能な期間)は、排卵日の1週間前ぐらいから排卵日のあと2日間程度を指します。これは精子と卵子の寿命から計算したものですが、まれに10日間程度生き続けている精子もあることから、危険日に関しても確実に設定できるものではありません。

つまり、生理開始日、排卵日というのはあくまで結果論です。実際には、前もってその日を特定することは難しく、絶対的な安全日も危険日も存在しないのです。妊娠を希望しない場合は、常にコンドーム等で避妊をするようにしてください。

また、妊娠を望んでいる方の場合、「排卵日にセックスをすれば妊娠する」と思い込んでいる方も多いようです。ですが、排卵日はそれほど妊娠しやすい日でもありません。実は、排卵日の前日と前々日のほうが4倍ほど妊娠しやすいというデータがあります。その理由は、排卵直後から卵子の劣化が始まる点にあります。そのため、排卵時に精子がスタンバイしているほうが妊娠しやすくなります。妊娠を希望する場合は、生理周期から排卵を予測して、排卵日が近づいてきたらその日の前後数日に何日か連続でセックスをしてください。

※画像は本文と関係ありません。

宋美玄(そん みひょん)医師

産婦人科女医・性科学者
1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年大阪大学医学部医学科を卒業。同年医師免許取得、大阪大学産婦人科入局。2007年川崎医科大学講師就任、2009年イギリス・ロンドン大学病院の胎児超音波部門に留学。
2010年には日本国内の病院にて産婦人科医として従事する傍ら、「女医が教える本当に気持ちいいセックス」を上梓。50万部突破の大ヒットとなる。 2012年には第一子となる女児を出産。現在、フジテレビ「とくダネ!」火曜日レギュラーコメンテーターとしても出演中。