東大、ピロリ菌への感染による胃がん発症に関連するマイクロRNAを発見

 

東京大学(東大)は9月5日、ピロリ菌感染による胃がん発症の鍵となるマイクロRNAを発見したと発表した。

この成果は同大学医科学研究所の氣駕恒太朗 特任研究員、三室仁美 准教授と千葉大学真菌医学研究センターの笹川千尋 特任教授らの研究グループによるもので、英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。

ヒトの胃に慢性的に定着する細菌であるピロリ菌は、胃に炎症を起こし、胃炎、胃潰瘍、胃がんの原因となることが知られている。しかし、ピロリ菌がどのようにがん化に重要と考えられている異常な細胞増殖を誘導するのかわかっていなかった。

近年、マイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現の制御が、がんを始めとするさまざまな生命現象に重要な役割を果たしていることが明らかになっており、遺伝子発現調節におけるmiRNAの重要性を考えると、ピロリ菌の感染の際に見られるがん関連遺伝子の応答にもmiRNAが関与していると推測されていた。

今回の研究では、スナネズミを用いた実験などにより、ピロリ菌の感染に応答するmiRNAとしてmiR-210を同定したという。また、miR-210がSTMN1とDIMT1という遺伝子を直接的な標的とし、細胞の増殖を制御していることを示すことに成功した。STMN1は胃がんを含む腫瘍形成の早期に重要な遺伝子と考えられていることから、ピロリ菌の慢性感染によってmiR-210が減少し、細胞のがん化につながる可能性が示唆されるとともに、同様に胃上皮増殖作用を持つDIMT1も新たながん遺伝子であるという可能性も浮かんできたという。

ピロリ菌に感染させたスナネズミ胃粘膜の miR-210 および STMN1 の発現。ピロリ菌が感染すると、miR-210 の発現が低下し、STMN1 の発現が上昇した。さらに、異常な細胞増殖が誘導されていることが、下段の染色により判明した。

ピロリ菌の感染によって、miR-210 の発現が減少し、それによって異常な細胞増殖が引き起こされる過程を模式的に表した図

同研究チームはこの研究結果について「胃病態形成の理解を大きく深めた今回の研究成果は、ピロリ菌による炎症誘発機構や、胃がん発症の原因解明に役立つことが大いに期待される」とコメント。今後は、ピロリ菌がどのようにして miR-210の発現を調節しているのか、より精細な解析をすると共に、miR-210 や STMN1、DIMT1 を利用した胃がん検査や治療へ貢献することを目指すという。

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