アートイベント「ヨコハマトリエンナーレ2014」に登場したアイドルグループ「でんぱ組.inc」 |
「AKB48」が人気になってからというもの、小学校の入学式や卒業式では、タータンチェックのブレザーツーピースを着る女の子が爆発的に増えたのだそうです。そんなエピソードが飛び出すほどには、日本におけるアイドルの影響力は大きいもの。実際、日本国内でアイドルを追いかけるファンの中には、彼女たちが着用する衣装や小物を真似たり、探して買ったりするファンが多く存在します。
そんなアイドルたちのイメージをつくる「衣装デザイン」を、外国人の方はどうご覧になっているのでしょうか。今回は、日本在住の外国人20名に「日本の女性アイドルの衣装デザインってかわいいですか?」と質問してみました。
■すごくかわいいと思います。(タイ/30代後半/女性)
■かわいいと思います。(ドイツ/40代前半/女性)
■かわいいと思います。(ベトナム/30代前半/女性)
■かわいいです。(フィリピン/40代前半/女性)
■かわいいです。(中国/20代後半/女性)
■かわいいです。(イスラエル/30代後半/女性)
■はい、かわいいです。(スペイン/30代後半/男性)
■はい、思います。(台湾/40代前半/男性)
■はい。(韓国/40代後半/男性)
■はい。(ブラジル/20代後半/男性)
今回の回答は、ほぼ50%ずつに別れました。興味深いのは「かわいい」という回答をされた人のほとんどが、アジア圏の方だということです。AKBから派生したアイドル「JKT48」が活動するインドネシア、現地での活動時代から「アキバを感じるアイドルがいる!」と日本でも話題になっていたタイの「Neko Jump」など、いわば"アイドル耐性"のある国が増えてきたこと、昨年国内で話題になった在日ブラジル人アイドルグループ「リンダIII世」の影響なども大きいのかもしれません。
最近では、戦隊物をイメージした衣装の「ももいろクローバーZ」を始め、ゴスとロリータとジャパネスクを取り混ぜた「BABY METAL」、80年代のニューウェーブ系アーティストの要素を取り入れた「ゆるめるモ!」など、個性的な衣装デザインも増えており、ひとくくりにするのも難しくはあります。そうした形にとらわれないバリエーションがあるからこそ、幅広い人たちの興味を惹きやすいのでしょうね。
■きゃりーぱみゅぱみゅがいい。(ロシア/20代前半/女性)
コスプレやビジュアル系の人気が高い国といえばフランスやドイツですが、実はロシアも日本の文化が好きだという人が多い国です。きゃりーぱみゅぱみゅは、2012年にモスクワで行われた日本現代文化フェスティバルにも参加、2013年には彼女の曲をカバーするロシアの4人組ガールズバンド「Powder」なども出てきており、国内での注目度がかなり高いと言えそうです。
ちなみに、彼女のデビュー曲の衣装やPV美術を担当した増田セバスチャン氏は、自身のFacebookページに集まっていた海外ファンに響かせることを意識したそう。実際「PON PON PON」の背景に使われているお菓子は、日本ではなく海外のものばかりです。ロシアだけでなく海外で人気が出る状況も、実はなるべくしてなったことなのかもしれません。
■幼すぎるように見えるので違和感を抱きます(マレーシア/30代前半/男性)
■露出が少し多くてエロいと思う。いい歳をしているのに見ていて恥ずかしい。(イギリス/20代前半/女性)
日本のアイドル文化は「がんばる女の子たちを応援する」というスタンスの上で成り立っているため、いきおい年齢層の低い子たちが出てくることになります。これはもう文化の根幹に関わる部分でもあるので、相いれないのは仕方がないことなのだと思います。また、大半のアイドルはそこまで露出が多いデザインはないと思われるので、イギリスの方はグラビアアイドル用の衣装などをご覧になったのかもしれません。
ただ、メンバーの年齢層が比較的高い乃木坂46、本人たちはそうではないものの、衣装がヤンキー系のhy4-4yh(ハイパーヨーヨ)、アイドルという枠に入れるのは若干難しい感のある兼業系の「爆乳ヤンキー」など、今は年齢やカテゴリ、専業かどうかなどでも衣装のイメージがかなり変わるので難しいところなのですが……。
■私の好みではないのでかわいいとは思いません。(スウェーデン/40代後半/女性)
■私の趣味に合わないのでかっこいいとは思いません。(トルコ/30代前半/女性)
■かわいいとは思いません。(アメリカ/20代後半/男性)
■かわいいとは思いません。(ペルー/30代前半/男性)
■かわいくない。変です。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■あんまり。(チュニジア/40代後半/男性)
■いいえ。(オーストラリア/40代前半/男性)
否定的な意見まとめて。男性が多めですが、かわいいかどうかという以前にアイドルへの興味も薄いのかもしれません。また、女性ではさらに自分が着られるかどうかも基準に含まれてくるだけに「趣味に合わない」という否定は納得できる答えです。
80年代のソロアイドルが活躍した時代から時は流れ、近年では「AKB48」などのグループアイドルの盛り上がりを経た後、「ももいろクローバー」や「私立恵比寿中学」、「でんぱ組.inc」のような個性派が生まれ、さらに現在では、ローカル性をウリにするグループも多く登場。新潟特産の葱を模したネギライトを使う新潟の「Negicco」や福岡を拠点とする「LinQ」など、数々のご当地アイドルグループが活動しています。
また、文系ラップ層を狙った「リリカルスクール」や「ライムベリー」、メンバー自身が楽曲制作を行っているテクノポップユニット「エレクトリックリボン」など、一口に「アイドル」といっても、さまざまな特色を持ったグループが出てきています。それだけに、衣装のデザインもバリエーション多彩。テレビには出ていないアイドルを例にすれば、また違った回答が出てくるのかもしれませんね。