発表から1年が経ち、様々な活用事例が出てきたiBeacon。中でもジオフェンシングへの活用はO2O施策の切り札として期待が集まっています。

2013年9月に米Appleが、低消費電力の近距離無線技術「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用してデータ通信を行う「iBeacon」機能を発表して、約1年が経ちました。最近では、BLE対応のAndroidスマートフォンでも同様の施策が実現できる環境が整ってきており、本格的な普及に向けて注目が集まっています。

そもそもiBeaconは信号波を発信するBeacon発信器と、スマートフォンなどのデバイス間でやりとりされた信号の情報から「Beacon発信器までの距離」と「デバイスの種類」が識別できる仕組みです。この情報をスマートフォンアプリで利用することによって、便利な機能やサービスが実現できるようになります。

今回はこの「iBeacon」機能をジオフェンシングに活用している、O2O(Online to Offline:オンラインの情報からオフラインの消費行動を促すマーケティング施策)の事例をまとめてみました。今後のマーケティング施策へのiBeacon導入アイディアとしてご参考ください。

20世紀フォックス映画

http://jp.access-company.com/news_event/archives/2014/20140508/

出典:「D2Cスマイル」http://www.d2c-smile.com/201407152667

2014年5月14日公開の映画『X-MEN:フューチャー&パスト』に「iBeacon」を用いた新たな映画館来場者向けサービスを導入。

iOS向けアプリ「TOHOシネマズマガジンApp(バージョン2.6以降)」をインストールした来場者は、劇場に入場するだけ、X-MENのビジュアルに近づくだけで出演者のメッセージによる限定の特典動画や施設への誘導、デジタルクーポンの配布、オンラインキャンペーンとの連携など、映画コンテンツの楽しみ方を拡張する多彩なサービスが受けられる。

参考記事
iBeaconの活用で変わる、映画のインシアタープロモーション
20世紀フォックス映画営業本部シニアマネージャー平山氏のインタビュー
http://www.d2c-smile.com/201407152667

東京国立博物館「トーハクなび」

http://www.tnm.jp/uploads/r_press/97.pdf

 

東京国立博物館の総合文化展を鑑賞するために6つのコースの解説とスタンプラリーを提供。指定の場所を回ると自動でデジタルスタンプが獲得でき、全て集めると記念の缶バッチが入手できる。

愛知県知多市歴史民俗博物館「iPhoneで博物館たんけん」

http://www.city.chita.lg.jp/docs/2014040100031/

 

館内にあるビーコンを設置したポイントに近づくと、自動的に展示物に対する「案内」を開始。とスタンプラリーにも参加することもでき、案内を聞くと同時にポイントがチェック。常設展示案内の6か所のチェックポイントを全てまわると、クリア画面が表示され、ミュージアムグッズが入手出来る。

八景島シーパラダイス

http://www.basis-inn.jp/images/stories/NewsReleaseSeaParadise.pdf

来場者がスマートフォンに専用アプリをインストールしておくことで、横浜・八景島シーパラダイス内の約40カ所に設置されたビーコンに反応。島内4つの水族館の生きもの情報、豆知識、イベント情報などが自動配信される。

 

 

 

 

 

音楽LIVE「ユニコーン」

http://www.sonymusic.co.jp/artist/Unicorn/info/438333

ライブ会場でアプリを起動してiBeacon端末に近づくと限定コンテンツ(壁紙)が入手できる。iPhone本体に特別なアプリを入れてiBeacon端末として活用した。

参考記事:
ユニコーンのライブ会場でiBeacon体験!限定コンテンツをゲット
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/219/219638/

京セラドーム大阪球場「野球場NAVI」

http://www.buffaloes.co.jp/news/detail/3968.html

座席にiBeacon端末が設置されており、アプリ利用者の位置がプッシュ通知され、近くにいる好みのビールメーカーの売り子を呼ぶことが出来る。

大丸松坂屋百貨店 大丸東京店

http://blog.mapion.co.jp/release/2014/08/140811_26518.html

店舗内を探検するクイズキャンペーン「クイズたんけん!ねこしゃんQ大丸東京村」を実施。百貨店での買い物をテーマにしたクイズコンテンツを出題することで、理解促進や魅力発見を促進し、店舗の回遊促進と新しい店舗体験を提供。

ファッションイベント「GirlsAward 2014 SPRING/SUMMER」

利用アプリ:連絡帳アプリ『iam』プロモーションカード

http://www.atpress.ne.jp/view/45545

イベント会場に設置されるiBeacon端末と連動し、来場者のアプリに対して「GirlsAwardオフィシャルプロモーションカード」を自動で送信。当日のステージの進行状況や各ブースの企画告知などの情報がリアルタイムで更新されるほか、抽選でプレゼントが当たるキャンペーンにも自動的に参加できる。

参考記事:
【取材】iPhoneアプリ「iam」を使ったiBeacon活用マーケティング事例を紹介!
http://iphone-mania.jp/news-29033/

東急電鉄 武蔵小杉駅周辺エリア活性化キャンペーン

利用アプリ:来店ポイントサービス「ショプリエ」
http://www.tokyu.co.jp/company/news/list/?id=1217

東横線・目黒線武蔵小杉駅構内、武蔵小杉東急スクエア内、武蔵小杉東急ストアの店内に、32個のBluetooth端末と30個の音声端末を設置し、位置情報などに応じた情報配信を行う。武蔵小杉東急スクエア内の対象店舗を回ると最大600ポイントが貯まる「チェックインマラソン」や、武蔵小杉東急スクエア内の対象店舗で利用できるクーポンをスマートフォンに配信する「スペシャルクーポン祭り」を実施。

「the 3rd Burger」アークヒルズサウスタワー店

利用アプリ:モバイルウォレットサービス「スマートオーダー」
http://www.showcase-gig.com/news/info/date/2014/06/25/1148

 

お客様の来店検知と、iOS対応としては世界初のタッチ式非接触認証によるスタンプ付与、クーポン配信などにiBeacon機能を活用。

iBeacon機能は、GPSでは正確に行えない屋内施設での位置測定が可能で、NFC(近距離無線通信技術)のように数cmまで接近しなくても通信できるため、アイディア次第で様々なコミュニケーションを生み出すことが出来ると期待されています。

また、今までは「チェックイン」などによる来店情報や、POSの購入情報しか分かりませんでしたが、iBeacon機能を活用することで、ユーザー行動の内容や経路、滞在時間といったマーケティングデータを収集することも可能になります。

O2Oやオムニチャネルへの取り組みを検討する際は、オンラインとオフラインをさらにシームレスにするiBeaconにも、ぜひ注目してみてください。

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。

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