ランチタイムなどに飲食店での行列を目にする機会は多い。特にオフィス街では、昼休み時間が固定という企業もあってその傾向は顕著だ。店舗内での食事の場合には席数などの関係から難しい場合もあるが、テイクアウトショップであれば、客の回転率を上げて売上を伸ばすことも可能だろう。

テイクアウトショップで行列ができる原因としては、もちろん店内オペレーションもあるが、レジでの待ち時間が挙げられる。レジ待ちの列は、客にとっても好ましいものでは無いし、店舗側にとっても機会損失へとつながってしまう。レジ待ち時間を解消できれば、単位時間あたりの売上を上げられるというわけだ。

首都圏で飲食店を展開するユナイテッド&コレクティブは6月25日、Showcase Gigと共同で、ハンバーガーショップ「the 3rd Burger アークヒルズサウスタワー店」において、スマートデバイスを利用して店舗に行く前に注文と決済を行い、店舗では列に並ばずに商品を受け取れるサービス「スマートオーダー」を発表した。26日からiOS向けにサービスを提供、Android向けにも7月上旬には対応する予定だという。

ユナイテッド&コレクティブ 代表取締役社長 坂井 英也氏は「(the 3rd Burgerは)注文を受けてからの提供は早いが、特にお昼などのピークタイムには注文までに10分ほどの列ができてしまい、これを解決したいというのが長年の課題だった。これを解決するのが今回のスマートオーダ」と語る。

ユナイテッド&コレクティブ 代表取締役社長 坂井 英也氏

スマートオーダーでは専用のアプリ「o:der(オーダー)」をインストールし、クレジットカード情報の登録などを行っておく。客は例えば会社の自席から、o:derを利用して店舗を選択。飲食メニューから注文を行い、クレジット決済を行う。そして、実際に店舗に行き、商品を受け取るといった流れだ。一連の流れでレジでの注文や支払い、もちろん行列に並ぶ必要もない。

スマートオーダーでの注文・決済の流れ

店舗側では客がo:derで行った注文がリアルタイムで表示され、用意ができたら「調理完了ボタン」を押す。するとその情報が客へ通知メッセージとして送られる仕組みで、その客が受け取りに来ているかどうかもわかるようになっている。

既に両社ではトライアルを行っており、その際には昼のピークタイムで1件あたりのオーダー処理スピードが2倍以上になったという。

坂井氏は「これまではレジの台数によって限界があった。(店舗でのオペレーションについては過去の例などからまだ余裕があり)スマートオーダーによって販売機会の拡大を図ることができる」として「昼のピークタイムでの売上を1.5倍にすることを目指す」とした。

両社は今後、時間指定での商品受け渡しを可能にする機能も予定している。"通勤列車の中で注文して会社に行く途中に受け取るといった購買体験を手軽に行える"、そのようなサービスが近い将来に実現しそうだ。

ユナイテッド&コレクティブ 代表取締役社長 坂井 英也氏(左端)とShowcase Gig 代表取締役 新田 剛史氏(右端)

また、o:derはBluetooth Low Energy(BLE)によるBeaconにも対応。the 3rd Burgerでは、アプリックスIPホールディングスの2種類のBeacon端末を設置している。ひとつは、客が店舗に近づいた際にセンサーが店舗スタッフに来店を通知したり、客におすすめ情報などをプッシュ通知するのを実現する「MyBeacon Pro Mb004」。もうひとつが、iOS端末でNFC型のタッチ式非接触認証を可能とする「MyBeacon touch」。

「MyBeacon touch」はレジ脇に置き、iOS端末をリーダにかざしてスタンプ付与を行う際に利用する(同機能は7月に導入予定)。アプリックスIPホールディングスによると、電波を制御し有効範囲を10cm以内に抑えること(ほぼ接触に近い距離でのみ受信を行うこと)が同製品の特徴で、iOS端末でNFCと同様のサービス提供が可能となっている。