ソーシャルメディアを介したキャンペーンは、気軽に参加できる反面、印象に残ることが難しいこともあります。参加者の記憶に残るFacebookキャンペーンのポイントをお伝えします。

こんにちは、SMMLab ゲストライターの柴です。

ユーザーは気軽に参加できるFacebookキャンペーン。今や多くの企業が実施していることもあり、参加する人の記憶に残ることが、より難しくなってきているように感じます。

そんな中、商品ブランドの認知拡大で成功をおさめた、ハインツ日本の「お・と・な・む・けの一言 キャンペーン」をご紹介します。

ハインツ日本では、パスタソースおよびスープのブランド「大人むけのパスタ」の認知拡大キャンペーンを、2013年から継続的に実施しています。 2014年春に行われたFacebook、Twitter投稿型キャンペーンでは、ソーシャルメディアアカウント外のキャンペーン特設サイト訪問者の約3割がソーシャルメディア上の友人の投稿経由、さらに平均滞在時間も3分以上だったそう。

Web以外でも、35歳前後の女性ターゲットに対して雑誌や電車広告と幅広く展開。結果現在は、2012年の調査から認知度が3倍ほどに成長しているそうです。 今回はソーシャルメディア、特にFacebookに絞ってハインツ日本が行ったキャンペーンと、参加者の記憶に残るポイントをお伝えしていきます。

お・と・な・む・けの一言キャンペーン

・概要:テーマに沿った内容をFacebookもしくはTwitterで投稿した人の中から、大人むけのパスタ&スープ詰め合わせと最新美容機器を抽選でプレゼント
・期間:2014年4月1~30日
・URL:http://otonamuke.jp/

▲Facebookキャンペーンには15,982人が参加。うち女性の割合が63%、かつボリュームゾーンは20代後半~30代と、ターゲットに接触すること成功しています。

ポイント1.考えてもらう

参加者に考えてもらう時間の長さは、キャンペーン、さらにはブランド自体が記憶に残る可能性の高さに比例します。

このキャンペーンは「○○○は お・と・な・む・け OTONAMUKE♪」の○○○にふさわしい一言を考えて投稿するという内容でした。

選択肢の中から選ぶ、答えをWeb上で探して穴埋めするといったものに比べ、当然参加者自身の頭で考える時間は長くなりますよね。

▲キャンペーンのお題と、参加者の投稿

お題を大喜利的に楽しんだり、「よい回答をしたほうが当選確率が高くなる気がする」という心理から真剣に考える人もいたはずです。

ただ単に考えるだけでなく深く考えてもらうことで、参加者の記憶に残るようになるのではないでしょうか。

ポイント2.視覚に訴える

視覚に訴えるということは、記憶に残すために有効な要素だということは皆さんもご存じのとおりです。

このキャンペーンでは、投稿に使う写真を参加者が好きに選ぶことができる仕組みになっていました。

しかも写真は、商品に直接関連するパスタだけではなく、夜の街の景色や、お酒、旅館、女性などを用意。ターゲットを主役とするようなものだからこそ馴染みやすく、頭の中にもスムーズに入っていくのではないでしょうか。

▲まさに「お・と・な・む・け」を連想させる画像が多い

また写真の効果もあってか、Facebookキャンペーンに参加した人のうち半数以上が作った投稿をシェアしました。
そのシェアにより、キャンペーンが9万人以上の人にリーチしたであろうと想定されています。 記憶に残す以外に、認知という点でも写真が貢献したことがわかりますね。

#### ポイント3.想起できる引き金を渡す

いくらキャンペーン参加時の関与度が高くインパクトがあったとしても、その後思い出すキッカケが全くなければ忘れ去られてしまうかもしれません。
忘れられることを避けるためには、思い出してもらうための引き金を渡すことが必要です。

このキャンペーンでは、『大人の日』という引き金を渡しています。 ハインツ日本は、”よい夫婦の日”として知られる4月22日を『大人の日』として、新しい記念日に制定しているのです。

▲『大人の日』の説明

季節イベントと絡めることで、時期つまりよい夫婦の日が来たら、一緒に『大人の日』しいてはキャンペーンで見た商品を思い出してもらえるかもしれません。 また“ちょっと大人な気分”を味わいたいといった、個々人の気分的な『大人の日』にも連想してもらえるチャンスを生み出せるのです。

この『大人の日』の場合はソーシャルに限らずキャンペーン全体の企画ですが、思い出してもらうための引き金を季節イベントと絡めるというのはオススメの方法です。

ポイント4.出会う回数を増やす

人は偶然の出会いが重なると、気になったり、忘れにくくなるものです。

冒頭でも少し触れたとおり、このキャンペーンでは電車広告、雑誌広告などでも展開されていました。そしてもちろんFacebookで使うクリエイティブも、それら他媒体の広告と揃えていたのです。

▲Webキャンペーンの案内も記載している電車広告。Webキャンペーンとクリエイティブを統一し、接触した人は思わず反応してしまいそう。

参加者の中で「この間も見た」という体験が重なるほど、ブランドや商品との心の距離が縮まり記憶に残るようになるものです。

「同じもの」と出会う回数が増えるよう、基本的なことですがタイミングやクリエイティブを調整したいですね。

「参加」の一点から、視点を深く長くのばす

Facebook上にたくさんのキャンペーンが存在し、Facebookページの投稿をファンに届けることすらも競争が激しくなっている昨今。

参加者の記憶に残るためには参加時の関与度を上げること、そして参加時点前後のファンの体験や頭の中までに思いを巡らせて企画を考えていく必要があるでしょう。

Facebook上でのキャンペーンを考える際、いかに参加者つまりファンを増やすかという一点に集中しすぎていませんか。

もしそうだとしたら、ぜひこの4ポイントを参考に視野を延長してみてください。

ライター紹介

柴 佳織(Kaori Shiba)

企業のFacebookページのコンサルティングから、解析・運用支援などを行う。また、Facebookマーケティングのライターや講師も務めている。

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本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボで掲載された記事を転載したものです。