Analog Devices(ADI)は5月28日、幅広い入力周波数範囲にわたって、優れたリニアリティ性能とノイズ性能が求められる、仕様の厳しい高速信号処理アプリケーション向けに設計された、16ビット310MSPSデュアルA/Dコンバータ(ADC)「AD9652」を発表した。

同製品は、最高155MHzの1stナイキスト周波数帯域幅までデジタル化でき、最大650MHzのノイズ帯域幅を提供する。また、高性能な入力バッファと16ビットADCコアを内蔵。そのため、他の大きな信号やブロッカ、スペクトルクラッタなどの干渉を受けることなく、微弱な信号を検出して分離するために必要な、高いリニアリティ性能とノイズ性能を実現している。これにより、シグナルチェーンの簡素化、システムのコントロール/コンフィギュレーション/チューニングの多くをソフトウェアドメインに移行できる。同製品は、マルチモード、マルチバンド通信用受信機やレーダ、RF試験装置などといったアプリケーションに適しているという。

また、サンプリングクロックを発生させるために、最高1.24GHzまでの入力クロック周波数が取り扱える整数1-to-8クロック分周器を内蔵している。デューティサイクルスタビライザも備えており、ADCのクロックに発生するデューティサイクルの変動を補償している。各ADCからの16ビット出力データ(オーバーレンジビット付き)は、ダブルデータレートクロックと同調して、2つのADC出力は単一のLVDS出力ポートに交互に出力される。セットアップやコントロールのためのプログラミングには、3ワイヤSPI互換のシリアルインタフェースを用いるという。

なお、パッケージは144ピンCSPBGA。価格は1000個受注時で231.25ドル。現在、量産出荷中。

仕様の厳しい高速信号処理アプリケーション向けに設計された、16ビット310MSPSデュアルADC「AD9652」