ライオンは5月13日、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構・裏出良博 教授と共同で、酒粕などに含まれるほか、清酒製造にも用いられる酵母(清酒酵母)に、"睡眠の質"を高める効果があることを確認したと発表した。

同成果の詳細は、5月30日から開催される「第68回 日本栄養・食糧学会大会」ならびに7月3日より開催される「日本睡眠学会 第39回 定期学術集会」にて発表される予定。

近年、睡眠の質の向上に向けた研究が各所で行われており、裏出教授らの研究チームも、これまでの研究から、脳内物質の1つ「アデノシンA2A受容体」を活性化することで、深い睡眠を誘発できることを報告していた。今回、研究グループでは、同受容体の活性化能を評価する方法を確立し、約80種類の食品素材の評価を行った結果、「清酒酵母」に高い活性化能があることを発見。さらに、「清酒酵母」の摂取による睡眠の質への影響の確認に向け、ヒト臨床試験を行ったところ、脳波測定の結果から、「清酒酵母」の摂取により、深い眠りの指標となるデルタ波パワー値が増大することが確認されたという。

また、「清酒酵母」の摂取により、起床時に「疲れが取れる」、「眠気が取れる」などの実行感も得られることも判明したほか、深い睡眠時に集中的に分泌することが知られている成長ホルモンについて、被験者の尿中濃度を測定した結果、「清酒酵母」の摂取により増加することも確認されたとする。

なお同社では、今後、より詳細な作用機序の解析など睡眠研究を進めるとともに、"睡眠の質"を改善することで快適な睡眠環境の実現に向けた取り組みを進めて行くとしている。

アデノシンA2A受容体の活性化能 (アデノシン受容体A2A高発現細胞に各素材を添加後産生cAMP量を測定、t-検定)

「清酒酵母」による睡眠の質改善 (n=12、清酒酵母1500mg/日を経口にて摂取)