米Appleがルネサス エレクトロニクスおよびルネサス エスピードライバ(RSP)を買収するのではないか、と一部で報じられた件について、ルネサス エレクトロニクス代表取締役会長の作田久男氏は9日、都内で開催された2014年3月期 決算発表会の場で改めて否定した。

2014年3月期の決算発表会で説明する、ルネサス エレクトロニクス代表取締役会長兼CEOの作田久男氏

ルネサス エレクトロニクスは半導体を扱う企業。スマートフォン向け表示ドライバICの売り上げが急拡大しており、同事業における2014年3月期決算は増収となった。決算発表会後に行われた囲み取材で、記者から「米Appleへの事業売却の報道が一部でされていた。ノンコア事業の売却について、進捗はあるのか」と問われると、作田氏は「具体的に申し上げることは何もない。事業の売却というのは、どこの会社でも、常に考えていること」とこれまで通りの見解を繰り返した。

記者から「ノンコア事業が売却の対象になることは変わらないのか。検討していると捉えていいのか」と問われると、作田氏は「一般論でしか申し上げられない。場合によっては、(メイン事業の)マイコンの車だって売却するかも知れない。特定の相手と売却の話をしているわけではない。仮にしていたとしたら、もっと喋れないはず」と笑みを含んだ表情で答えた。

米AppleがRSPの買収交渉に入った、と一部で報じられたのは4月のこと。ルネサスエレクトロニクスは公式声明として、「当社およびルネサスエスピードライバは更なる成長の為、譲渡を含む様々な検討を行っておりますが、現時点で決定した事実はありません」としていた。

ルネサスエスピードライバは、ルネサステクノロジーが55%、シャープが25%、台湾PowerchipGrが20%を出資して2008年4月に誕生した企業。中小型液晶向けドライバ・コントローラ事業を展開し、iPhoneのディスプレイの画質や省電力性を左右するドライバーICの多くを手がけているとされている。