トクヤマは4月25日、高性能な中性子線シンチレータ材料を開発し、装置メーカーによる検出器の試作と性能検証を開始したと発表した。

従来、セキュリティ用途を中心とした中性子線の検出には3Heガスを用いた検出器が用いられてきたが、近年、3Heガスの最大の供給源である米国政府が供給に制限をかけたことから、価格高騰と供給不安が発生する事態となっており、代替材料の開発が求められるようになっていた。

そこで同社はそうした課題の解決に向け、同社が2000年から培ってきたフッ化物単結晶の関連技術を活用することで今回、中性子感度の高い6Liを含む特殊なフッ化物単結晶(LiCaAlF6)を開発したという。

すでに同単結晶を用いた高感度な中性子線検出器の試作と性能検証が世界各地の高エネルギー研究機関や大学、企業などにて進められており、同社としては、セキュリティ用検出器のほか、環境モニターや中性子散乱装置、中性子捕捉がん治療、インフラ非破壊検査など、中性子線を用いる幅広い用途でのユーザーワークを行いながら、2015年度には事業化したいとしている。

LiCaAlF6単結晶 φ100mm

単結晶シンチレータ φ100mm×t10mm

検出器への応用例:携帯モジュール