Q:日本の制服、かっこいいと思うのは?

機能性や職務を一目で表す制服。日本に住む多くの人は、学生時代に一度はお世話になるなじみ深い存在です。そんな制服も、国が変わればデザインや色、形も異なります。気候や環境などにより、着用の有無すら変わる場合も。特に日本では、サブカルチャーに関わることもあり、海外からの注目度も高いようです。

今回は、日本在住の外国人20名に「日本で働く制服のある職業の中で、「この服はかっこいいな」と感じるもの」を聞いてみました。

■工事現場の広いズボンが印象的です。また駅員の制服はきちんとしてかっこいいと思います。(フランス/30代後半/男性)
■安全作業に携わる人のジャンパーです。(シリア/30代前半/男性)

危険とつねに隣り合わせ。機能性が最も求められる制服が作業服です。暗い所でも光るリフレクター付きアイテムや腰の動きを妨げないつなぎなど、環境や作業に合わせた形、静電気防止や汚れや酸に強い素材もあり、さまざまな工夫が凝らされています。「広いズボン」はとび職のニッカズボンでしょう。高所作業でのバランスを取ったり突起物を感知したり、ペンキが直接身体に落ちるのを防ぐ機能などがあります。「寅壱」などのメーカーが有名ですが、外国人にも人気があるそうです。

■JALの職員の制服。(ベトナム/30代前半/女性)
■空港で働く人の制服です。(インドネシア/30代前半/女性)
■航空の制服。(スペイン/30代後半/男性)

こちらは空港や航空会社関連。パイロットやグランドホステスなど役職はいろいろですが、CAさんの制服では特に各国の文化が強調されます。ベトナムやインドネシアなどではアオザイやサロンなど民族衣装のため、日本のスーツやワンピースが新鮮に映るのかもしれませんね。ちなみに、現在のJALの制服は、ファッションデザイナー・丸山敬太さんの手によるもの。日本人らしい繊細さや美を機能性に組み込んだ、信頼感や華やかさを感じさせるデザインです。

■警察です。(インドネシア/30代後半/男性)
■女性警察官。(スリランカ/50代後半/男性)

世界的に見ると、紺系とカーキ系に大別される警察の制服。とはいえ印象がほぼ統一されているのは、特殊任務に対する世界的な共通認識があるからでしょう。その中で上記の2国は茶・カーキ系のため、紺系の日本の警察に注目が集まるのかもしれません。警察庁では制服を「国民の期待と信頼にこたえ得る象徴性」とし、1994年から現在のデザインを採用しています。

■エレベーターのお姉さん。(ポーランド/20代後半/女性)
■デパートの制服は素敵です。でもかっこいいとは言わないかも…。(スウェーデン/40代後半/女性)

1929年に松坂屋上野店に登場し、戦前の女性の憧れだったエレベーターガール。1990年代以降はほとんど見られなくなった職業ですが、世界的にも珍しい存在だとか(手動エレベーターの頃は海外にもいたそう)。ハットにツーピース、手袋とレトロな雰囲気のデザインは、店の個性と格式を重んじた控えめなアピールとも言えそうです。ちなみに、現代美術家やなぎみわの「エレベーターガール」では、「多くの女性が一度は憧れる存在」の象徴として使われています。

■メイド喫茶のメイドさんの服。(中国/30代前半/女性)
■秋葉原のカフェの制服です。(韓国/40代後半/男性)

今の日本を語る上では欠かせないアキバカルチャー。メイド服はそのアイコン的な存在として大人気です。起源は19世紀末イギリスで家政婦さんたちが着ていたエプロンドレス。本式は、マンガ「エマ」などで見られるヴィクトリアンメイド(ロングドレス型)ですが、アキバのメイド服は、デザイン性を重視したフレンチメイドが始まり。さらにゴシックロリータ服などが融合してできたという、まったくの別物なんだそうですよ。

■ヤクルトさんの制服。(オーストラリア/40代前半/男性)
■巫女さん。(イギリス/40代後半/男性)
■OLさんのスーツです。(ブラジル/50代前半/女性)

職業あれこれ。巫女さんの正装を「制服」と呼べるかどうかは微妙な所ですが…。面白いのがヤクルトさんの制服。デザインはもちろんですが、各家庭やオフィスに回ってくる訪問販売のスタイルも独特なので、すべてを総合しての印象なのかもしれません。

世界の中でもかなりの制服好きと言われる日本人。自分の主張を制服をまとって演じることで実現させている、という指摘やコスプレ好きの志向にも繋がると多くの分析本が出版されているほどです。外国人の目すら止めさせる制服のバリエーションの豊富さは、日本の国民性や文化背景とも関係しているのかもしれません。