日本マイクロソフトは1月29日、Windows Server 2003のサポート終了に伴うサーバー移行支援策の発表会を開催した。

日本マイクロソフト 執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャーの高橋明宏氏

発表会に登壇した日本マイクロソフト 執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャーの高橋明宏氏は冒頭、日本時間の2015年7月15日をもってWindows Server 2003のサポートを終了することを改めてアナウンス。

通常、延長サポートも含めて10年で終了するサポートサービスを、Windows Server 2003では12年2カ月間実施していることを説明したうえで、来年7月15日以降は修正プログラムも配布されなくなることを強調した。

続けて高橋氏は、今年4月に迎えるWindows XP/Office 2003サポート終了での対応から学んだこととして、「お客様の予算期も踏まえた告知/移行支援が大切」とコメント。「サーバーでは構築もテストも時間がかかることを考えると、そろそろ予算の確保を進めていただかなければ間に合わなくなる」と語り、Windows Server 2003はサポート終了まで約1年半という猶予を残すが、支援策の発表を前倒しで実施するに至ったことを明かした。

Windows Server 2003は、2015年7月15日でサポート終了

移行のプロセスと、サポート終了までの残日数

Windows Server 2003 稼働数は36万台

日本マイクロソフト サーバー プラットフォーム ビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏

続いて登壇した日本マイクロソフト サーバー プラットフォーム ビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏は、Windows Server 2003の稼働状況と移行策について解説した。

佐藤氏はまず、IDC Japanの調査結果を引用するかたちで、国内x86サーバーの70.6%がWindows Server搭載機であることを紹介。さらに、稼働中のWindows Serverのうちの約23%がWindows Server 2003以前のバージョンであると明かし、その数が36万台に上ることを紹介した。

また、佐藤氏は、マイクロソフトによる2007年の調査結果からWindows Serverの活用状況も提示。25.1%がビジネスアプリケーションの実行のために使われており、次いでデータベースサーバ16.5%、ファイルサーバ13.7%、Webアプリケーション8.8%、グループウェア8.5%、メールサーバ7.4%となっていることを説明した。

上記の調査結果から全体の約7割がファイアウォールの内側で稼働していることになるが、佐藤氏は「インターネットに直接つながっていないからといって、セキュリティを気にしなくてよいわけではない」と注意を喚起する。

「最近は、クライアントPCを乗っ取ったうえでサーバーに侵入してくる攻撃が増えている。サーバーに脆弱性があれば、そこを突かれて簡単に侵入を許すことになるので、修正プログラムの適用は必須。また、そもそも10年前はそうした攻撃がほとんどなかったため、Windows Server 2003はそれを意識した設計になっていない。最新版にアップデートすることで、不正な侵入を検知/防御する機能が利用できるようにもなるので、堅牢性は大きく高まる」(佐藤氏)

移行ではクラウドも検討を

佐藤氏は、移行に際してはオンプレミスのみならずクラウドも選択肢に入れるべきと主張する。

氏は再びIDCの調査を引用し、Webアプリの約50%、電子メールの約40%、コラボレーティブアプリの約30%がパブリッククラウドで動作していることを紹介。そのうえで、業務の特性に応じてオンプレミスとパブリッククラウドを適材適所で使い分けるハイブリットクラウドが良いのではないかとの見解を示した。

「Windows ServerとWindows Azureであれば、オンプレミスとハイブリッドの連携が容易。System Centerを導入すれば、管理も統合的に行える。すでにサンリオ様などの導入事例があり、大幅な業務効率化を実現しているので、ぜひとも検討してほしい」(佐藤氏)

アプリケーションごとの稼働環境の違い

また、佐藤氏は、これから検討を始める企業に向けて、ビジネスアプリケーションを移行する際の考慮点も紹介した。

佐藤氏は、ユーザー企業の作業を大きく、「棚卸」、「移行方法の検討」、「構築と導入」、「動作確認」の4つのフェーズに分ける。これらのうち特に注意を促したのが、構築/導入フェーズ。具体的な項目として、32ビットのアプリが動かない可能性があること、IISの管理スクリプトを書き直さなければならない可能性があること、すでにサポート終了となったASP.NET 1.1の対応を考えることなどを挙げた。

ビジネスアプリケーションを移行する際の考慮点

こうした状況を踏まえ、マイクロソフトでは、ビジネスタイムの電話問い合わせが可能な「Windows Server 2003 移行相談窓口」を設置。トレーニング情報や移行ガイド、パートナー紹介などを掲載した「Windows Server 2003 移行ポータル」も開設し、スムーズな移行を支援している。

Windows Server 2003相談窓口

発表会では最後に、12社の移行支援パートナーを紹介し、マイクロソフト、ハードウェアベンダー、SIerが一体となってユーザー企業をサポートしていくことを約束した。

マイクロソフトの高橋氏、佐藤氏(中央)と12社の移行支援パートナー