タカラバイオと京都府立医科大学は1月21日、寒天由来のアガロオリゴ糖が小腸潰瘍を予防できるという動物実験による研究結果を発表した。

同成果の詳細は、学術誌「Journal of Gastroenterology and Hepatology」(オンライン版)に掲載された。

抗炎症薬や解熱鎮痛剤として用いられる非ステロイド性抗炎症剤は、副作用として消化管に潰瘍を起こすことが知られている。今回の研究は、この副作用に対して寒天由来アガロオリゴ糖がどのような効果をもたらすのかについてマウスを用いて評価したというもの。

実験では、マウスに非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン)を皮下投与した後、小腸の組織を解析した結果、アガロオリゴ糖を経口投与したマウスでは、非ステロイド性抗炎症剤による小腸の潰瘍や腸管膜構造の破壊が強く抑制されていることが確認されたという。

また、アガロオリゴ糖を投与した正常マウスでは、抗炎症作用を持つタンパク質であるヘムオキシゲナーゼ-1が小腸粘膜で強く発現していることが確認されたとのことで、これらの結果から、アガロオリゴ糖の投与により、腸管においてヘムオキシゲナーゼ-1の発現が誘導されることで、小腸の潰瘍が予防されるというメカニズムが示唆される結果を得たという。

なお研究グループでは、今回の研究結果を受けて、アガロオリゴ糖は非ステロイド性抗炎症剤による小腸潰瘍の予防に有望な天然由来素材であることが示されたとしている。