STMicroelectronicsは11月21日、スマートかつ柔軟で、使いやすいコンシューマ機器、生活家電、産業機器を実現するダイナミックNFCタグ「M24SR」ファミリを発表した。

NFCは、スマートフォンをかざして買い物の決済を行う機能として認知されているが、今後、さまざまな機器をIoT(Internet of Things)としてネットワークに接続する役割を担うことで、機器とユーザの関わり方を変化させる可能性を秘めている。同ファミリは、スピーカやプリンタ、調理器具、洗濯機、電気・ガス・水道メータなど、あらゆる機器にNFC(Near Field Communications)機能を簡単に実装することができる。

「M24SR」の潜在的なメリットの1つとして、スマートフォンとオーディオ機器間のBluetoothペアリングが挙げられる。スマートフォンの設定ページを開き、Bluetoothをオンにし、オーディオ機器のコード名を選択、そしてパスコードを入力する作業の代わりに、スマートフォンをNFC対応オーディオ機器に近づけるだけで、2つの機器の設定がNFCを介して伝送され、自動的にBluetoothペアリングを起動することができる。

この他、停電後やサマータイム開始・終了時などに生活家電の時計を再設定する機能や、機器の不具合を迅速に診断する機能が挙げられる。取扱説明書を探し出したり、メーカーのサービスセンターへ電話をする代わりに、スマートフォン上で「生活家電の時計を再設定するアプリ」を立ち上げ、スマートフォンを機器に近づけるだけで、時計の再設定が可能になり、「不具合診断アプリ」を立ち上げれば、メーカーWebサイトを通して、不具合の遠隔診断が可能になる。

また、同ファミリは不揮発性メモリ、ワイヤレスインタフェース、有線インタフェースのI2Cという3つの主要ブロックで構成されている。不揮発性メモリには容量2~64KビットのEEPROMを採用。ワイヤレスインタフェースは最大106kbpsのデータレートを実現するISO14443-Aプロトコルに完全対応している。I2Cインタフェースの動作速度は最大1MHzであり、スマートフォンと対象機器の間で高速データ転送が可能となっている。

EEPROMメモリバンクは、NFC駆動用にプリフォーマットされており、NDEF(NFC Data Exchange Format)に対応している。また、200年間のデータ保持期間、100万回の書き込み・消去サイクル、そして128ビットのパスワード保護によるセキュリティを保証する信頼性の高いEEPROM技術を採用している。

なお、パッケージはSO8、TSSOP8、MLP8。現在サンプル出荷中。

STのダイナミックNFCタグ「M24SR」ファミリ