サイボウズは11月8日、「cybozu.com coference 2013」に伴う発表会を開催。代表取締役社長の青野慶久氏が、同社製品/サービスの事例や今後の注力分野を解説した。

サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏

発表会の中で青野氏が特に強調したのが、同社が提供するWebデータベース型ビジネスアプリ作成プラットフォーム「kintone」。氏は「以前から言っているとおり、残りのビジネス人生はkintoneにかけたい」と強い意気込みを語り、ワールドワイドでビジネスを展開することを説明した。

kintoneは2011年11月7日にリリースされた、DBベースのWebアプリケーションを簡単に作成できるクラウドサービス。「単なるデータベースサービスではなく、あくまでチームプラットフォーム」(青野氏)というコンセプトの下、「2年かけてサービスの柱作りを進めてきた」(青野氏)と言う。

各種入力フォームやレポート機能に加えて、アクセス権の設定機能や、ワークフロー機能、コミュニケーション・通知機能など、チームでの情報共有を意識したパーツが多数用意されており、それらをドラッグ&ドロップするだけで独自のアプリが作成できる。JavaScriptを読み込む機能やAPIも提供されており、プログラマブルな点も特徴の1つだ。

青野氏は、kintoneの事例として、工場での品質・衛生管理に利用している敷島製パン、各国でカスタマイズ可能な業務プロセス管理基盤としてグローバルで利用しているDeNA、海藻を原料としたバイオ燃料の研究でデータ収集・情報共有に活用している米Suncisなどでの活用例を紹介。特にSuncisに関しては、「単にセンサー情報を自動集計する"M2M(Machine to Machine)"のシステムで終わるのではなく、それを遠隔地にいる有識者と共有してその場で議論し、研究の速度を劇的に高めている。つまり、"M2M2H(Machine to Machine to Human)"として使っている」と説明し、kintoneが汎用性の高いプラットフォームであることを改めて強調した。

Suncisの事例はM2M2Hの例として紹介された

青野氏は、kintoneの今後について、「まずは来年、米国と中国でサービスを展開する。米国に関しては、2003年に進出して2005年に撤退した経緯があるのでリベンジマッチ。前回は現地のビジネス文化も知らぬまま無謀なチャレンジをしてしまったが、今回は現地で独自のバリューを作ってくれるパートナーを探して進めていたい」と戦略を語った。

また、「これまでは、主に"中小企業の味方"というメッセージを送ってきたが、kintoneを武器に大企業での採用数を増やしていきたい」とも説明。エンタープライズの分野においても信頼されるべく、サービスの完成度をさらに高めていく方針を明かした。