科学技術振興機構(JST)は9月27日、2014年3月に開催予定の「第3回 科学の甲子園 全国大会」の開催概要などを公開した。

科学の甲子園推進委員会 委員長で横浜国立大学 名誉教授の伊藤卓氏

科学の甲子園推進委員会 委員長で横浜国立大学 名誉教授の伊藤卓氏は、これまでの第1回、第2回大会を振り返り、「第1回で総数5000名、第2回で6000名を超すなど、わずかながらでも参加者が増えており、心強い動き。科学の甲子園が目指すところが、全国の科学好きの生徒に浸透し、それが将来の日本の科学技術の発展につながることが期待される」とコメントしたほか、「数が増えていくことが成功か、ということに対する議論はあると思うが、参加者が増えるということは科学への関心を持つ生徒が増えるということ。欲を出せば数万人規模の大会にまで成長してもらいたい」としつつも、「普通の大学入試とはまったく異なる問題を常に作り続けていくということは製作者側の大変な負担になるが、そうした問題をきっかけに、自分は○○が得意、といった生徒が、もっと大きな志を持って、さらなる興味をもってそうした分野にまい進して行ってもらいたい」と苦労する部分も垣間見せた。

第2回大会は、2013年3月23日から25日まで兵庫県西宮市にある兵庫県立総合体育館にて開催され、愛知県立岡崎高等学校が優勝を飾った。この優勝チームである岡崎高校チームは、米国で開催されたサイエンスオリンピアドへと親善チームとして派遣され、米国の生徒たちと競技を繰り広げるなどの国際交流を行っている。

同チームの一員であった伊澤啓太君は、「学校では普段できないことを学べたことは貴重な体験」と、カルチャーショックを受けつつも、普通では体験できないことを学べたと振り返る。また、同じくチームの一員である尾崎宋海君、は、「科学の甲子園に出場することになったのは、先生からの誘い」とのことで、自分たちの高校が全国でどの程度の強さなのかがまったくわかっていなかったことから、「まさか優勝するとは」という思いであったという。さらに、「科学の甲子園を振り返ると、知識ではなく、人としての総合力が重要だったと思う。特にチームワークが良かったことが勝因につながったのだと思う」とし、「第3回大会にも出場し、2連覇を果たしたい」と意気込みを語った。

ちなみに第3回大会は、2014年3月21日から24日まで期間で開催される予定。場所は第1回、第2回と変わらず、兵庫県立総合体育館。基本的には前回を踏襲する形で実施され、競技種目も筆記競技と実技競技の2種類が予定されているが、競技内容は筆記競技1競技、実技競技3競技(第2回大会は4競技)へと変更されているほか、日程も3日間から4日間に拡大されている。これについて伊藤氏は、「運営上の都合や、観覧する側も、片方しか見れないといった課題などがあった。今回の措置は、そうした課題の解決を図ることを目指した変更」と説明している。また、第1回大会では甲子園の土を模した実技競技、第2回大会では灘の銘酒にちなんだ実技競技といった、ご当地問題が用意されていたが、第3回大会については「検討はしているものの、現段階ではノーコメント」(伊藤氏)とのことであった。

科学の甲子園の概要

また、今年の12月21日、22日には中学生を対象とした「第1回 科学の甲子園ジュニア大会」が東京・渋谷の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催される予定。こちらも全国47都道府県から各1チーム(各チーム6名)が選出され、筆記競技や実技競技を行う予定となっている。

第3回 科学の甲子園 全国大会の日程。前回、前々回は3日間だったが、今回は4日間となって、各競技の間などに時間的な余裕を持たすことが可能になったという

「第1回 科学の甲子園ジュニア大会」の概要