福井県立恐竜博物館と長崎市教育員会は、長崎市内の長崎半島西海岸に分布する三ツ瀬層(白亜紀後期:約8400万年前)から2011年7月に恐竜博物館の宮田和周主任研究員が発見した化石の1つが、大型の肉食恐竜(獣脚類)であることを確認したことなどを発表した。

発見された獣脚類の化石は2点の歯の一部で、そのうち1点は、歯冠の高さ35.4mm、幅26.8mm、厚さ11.2mmで、完全な歯の歯根側の約半分にあたる(完全であれば約6cmの歯と推定される)というほか、歯の前後には特徴となる鋸歯が保存されていることも確認された。もう一点は歯冠の一部で、高さ34.2mm、幅13.6mmとなっており、いずれも化石の不完全さから、獣脚類の種類を特定することは困難だという。

獣脚類の化石はこれまで国内では岩手、福島、群馬、富山、石川、岐阜、福井、和歌山、兵庫、福岡、熊本、鹿児島の各県から報告があり、長崎県では初めての発見となり、化石のサイズから、全長7mを超す大型の獣脚類であったと考えられるという。

福井県立恐竜博物館と長崎市教育委員会は2012年度から、三ツ瀬層から産出する白亜紀後期の脊椎動物化石の共同研究事業を進めており、2013年度からは野外での試掘調査も実施しており、白亜紀の脊椎動物化石のさらなる収集を行う計画があるとしており、これまでの化石を含む岩石のクリーニング作業から、獣脚類の化石以外に、翼竜の骨(第二標本)、ワニの歯、カメ(スッポンの仲間)の甲羅、硬鱗魚の鱗など、54点(総計57標本/2013年3月末時点)の標本が処置され、中には、噛まれた痕のあるカメの腹甲といった化石もあるという。

なお、今回の獣脚類の歯化石を含む11点の実物化石と複製は以下の予定で長崎市と福井県立恐竜博物館にて一般公開されるという。

展示公開予定

長崎市三和行政センター

7月9日~7月12日 実物化石を展示

長崎市科学館

7月14日~7月28日 実物化石を展示 7月29日~10月16日 複製を展示 10月17日から実物を常設展示

福井県立恐竜博物館

7月12日~7月28日 複製を特別展「発掘! 発見! 1億年の時を越えて~福井県恐竜化石発掘25周年記念~」にて展示 8月1日~10月14日 実物化石を特別展にて展示 10月17日から複製を常設展示

獣脚類の歯(歯根側の約半分)(出所:福井県立恐竜博物館Webサイト)

獣脚類の歯(歯冠の一部)(出所:福井県立恐竜博物館Webサイト)