大阪大学(阪大)は6月24日、最先端の半導体デバイス製造のスループットを10倍以上に向上させる技術を開発したと発表した。

同成果は、同大 産業科学研究所 田川精一招聘教授、大島明博招聘准教授らによるもの。詳細は、千葉大学にて開催される「第30回国際フォトポリマーコンファレンス」において、6月28日に発表される。

従来のEUV露光プロセスでは、1回のEUV露光によってレジスト中に酸が発生することにより反応が進むが、今回の研究によって開発した技術では、微細パターンを形成するEUV露光と高感度化のための光全面露光の2回露光を行うことによって、微細パターンを高感度で形成する手法を採用したという。

まず、最初のEUV露光工程で酸と同時に光増感剤をレジスト中に発生させ、2回目の光全面露光工程にて、1回目のEUV露光で生成した光増感剤のみが光を吸収する波長の光全面露光を行うことで、1回目のEUV露光を行った部分のみに再び酸と増感剤を発生させる。

このEUV露光部の選択的増感反応により従来比で10倍以上の酸増殖ができ、少ないEUV露光量でも反応に必要な十分の量の酸を発生させることができるようになるという。また、この酸増殖反応は室温で起こるため、酸増殖時に酸の拡散がなく、解像度を維持したままレジストの高感度化が可能だと研究グループでは説明している。

なお今回の成果を活用することで、EUV露光プロセスの最大の課題であったスループットの大幅な改善が期待できるようになることから、研究グループでは、今回の技術を活用することで、次世代露光技術の本命として開発が進められているEUVリソグラフィによる半導体の量産が現実味を帯び、将来にわたる半導体デバイスの高集積化を支えることができるようになることが期待されるとコメントしている。

図1 新露光システム。EUVパターン露光・光全面露光よる革新的プロセスのシステム

図2 通常プロセスと新プロセスとの比較の簡略図