Embedded Vision Alliance(EVA)は6月3日、日本地域への注力に向けた説明会を開催し、広く日本企業の同アライアンスへの参加を募った。

EVAは、コンピュータビジョン(CV)を効率良く組込機器に搭載することを目的として2011年に設立された組織で、主に北米で活動しており、全世界から33社が参加している。日本からは東京エレクトロン デバイス(TED)とディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)が参加しているが、組み込みの一大市場である日本から、より多くの企業に参加してもらうことを目的に、今回説明会が開催された。

EVAの2013年4月末時点のメンバーズリスト。北米系の半導体デバイスベンダが多いが、ソリューションベンダやディストリビュータなども名を連ねている。現状、北米以外の企業が圧倒的に少ない状況であり、CVの普及に向け、北米以外の企業の参加を推進していきたいとのことで、今回の日本での説明会開催に至ったという

EVAのDirector Business DevelopentのJeremy Giddings氏。本業はメンバー企業であるBDTIのエンジニアとのこと

「コンピュータのパフォーマンスが向上した結果、色々なことを処理することが可能となった。CVもその1つで、それをベースとしたアプリケーションの開発も可能となった。Kinectはコンシューマに普及したCVの良い例で、そうしたコンシューマに受け入れられるCV製品はさまざまな分野で今後広がっていくと考えられる。しかし、そのノウハウは、CVに携わったことがないエンジニアには難しく、EVAはそうしたエンジニアに対し、よりCVに親しんでもらうことを目的に設立された」と、EVAのDirector Business DevelopentのJeremy Giddings氏は設立の背景を語る。

「CVは年々、普及が加速している。従来、CVには特定のハードウェア/ソフトウェアが必要だったが、今やスマートフォンでもCVを活用することが可能となった。プロセッサのほか、センサなどのインタフェースの進化も加速しているためだ。だからこそ、エンジニアには教育が必要になってくる」と同氏は、今後、組込機器におけるCVの普及がさらに加速することを言及し、CVをビジネスに取り込むタイミングとして、「今がチャンス」と表現した。

また、「EVAの目的は実用的なノウハウを組み込みエンジニアに普及させること。論文レベルのアルゴリズムがどうだ、という話ではなく、実際の機器に技術として実装するためにはどういうことが必要なのか、どうやれば簡単に実装できるのか、などの実利面を重視して活動している」とし、EVAのWebサイトにおいて、そうした組込機器へのCVの実装を容易に実現するためのホワイトペーパーの提供などの情報発信を行っているほか、Webセミナーやメンバーミーティングなども実施しているとする。さらに、2012年9月に初めてのカンファレンスをボストンにて開催したほか、第2回目のカンファレンスを2013年4月に開催しており、4月のカンファレンスでは、当初の定員300名を参加申込者が上回り、最終的には400名の枠に拡大したが、それもすぐに埋まるほど盛況だったという。

EVAの概要と、その目標

同氏は、日本市場に対し、「メンバー企業の拡大はもちろんだが、それに向けたドキュメントの日本語化など、サービスの強化に努めて行き、ゆくゆくは日本でのイベントの開催なども実現したい」とする。また、CVに興味を持っている日本企業に対して加入のメリットとして、海外市場、特に米国へのCV分野で進出を図りたい企業は、米国を中心としたCV系パートナーとの連携がスムーズに行えること、ならびにすでに実績があり、ビジネスに転用可能な組み込み系技術ノウハウなどを容易に得られることを掲げ、「ぜひ、EVAに参加してもらい、CVを活用した新たなビジネスチャンスを切り開いて行ってもらいたい」とコメントした。

説明会の様子。CVをビジネスに活用しようと思う多数の企業などが参加した

なお、EVAのメンバーは、現在、CVのビジネス転用を前提としているため、企業であることが前提となっているという。また、EVAの提供するさまざまな技術ノウハウなどにアクセスできるテクノロジーメンバーとして参加する費用は、年間で1万ドルとなっているとしている。