大日本印刷(DNP)は、ノートパソコンやタブレット端末の製造受託大手の台湾のQuanta Computer(クァンタ)と業務提携を行い、カラーマネジメント用LSI(大規模集積回路)を共同開発すると発表した。DNPは、回路設計の後、本年後半にはLSIの製造を開始し、クァンタはこのLSIを搭載したノートパソコンやタブレット端末の量産を2014年1月に開始する予定。
両社が新たに開発するLSIは、DNPの印刷における画像処理で培ったカラーマッチング技術を活用して、パソコンとタブレット端末で表示される画像をより実物に近い色調補正を実現する。これにより実物に近づけた美しい映像表現を実現し、デジタルサイネージにおける訴求効果を高めていく。
また、LSIには同一画面内の明るい部分と暗い部分を認識し、適切なコントラストに補正する英国のアピカル・リミテッド社の技術に加え、画像内のノイズを除去するDNP独自の機能を搭載。これにより、画像の明暗部を適切なコントラストに補正する機能によって視認性が向上し、同時に、ディスプレイのバックライトの出力(輝度)を30%まで下げても最大出力時と同等の画質を表現でき、低消費電力化を実現する。
そのほか、ブルーライトカット機能を搭載。メガネをかけることなく、裸眼でのブルーライトカットを可能にする。
同社では、今後新しいLSIで実現する色調技術をブランド化し、ロゴマークを作成し、商標登録を行う予定。
DNPでは、2009年4月にデジタルサイネージ推進本部を発足。現在73名の人員が在籍する。同社では、交通機関や小売流通、エレベータ周りや食堂などのほか、家庭内もデジタルサイネージ領域と定義しているという。
デジタルサイネージ推進本部 本部長 閑郁文氏は、家庭向けのデジタルサイネージについて「今後は、タブレットを中心として、家庭内にもデジタルサイネージが入ってくる。デジタルサイネージはテレビ、新聞、雑誌、ラジオ、インターネットに次ぐ第6のメディアと考えている。これにより生活者はより利便性を享受できる」と語った。
そして、同氏は今回の提携について「DNPがQuanta Computerと提携するのは、異色だといえるかもしれない。今回の提携は、LSIを共同開発していくこと、DNPのソリューションを世界の市場に持っていくチャンスを見出すこと、そして、クァンタの製品をわれわれが購入し、これにソリューションを載せて展開していくことの3つだ」と説明した。
また、Quanta Computer LC 事業部営業部長 長安弘勳氏は、「DNPとQuanta Computerはまったく異なる業界だが、互いの強みを取り込んで、付加価値を生む商品を開発し、新しいビジネスを展開していきたい」と挨拶した。
DNPでは、新しいLSIを搭載した製品を展開し、2014年度にデジタルサイネージでの売上げ50億円を目指すという。