Tableau Japanは5月28日、日本法人設立に伴う国内販売戦略および製品概要を紹介する説明会を開催した。

Tableau Japanは、昨年11月に設立された、米Tableau Softwareの日本法人。米国法人のTableau Softwareは、スタンフォード大学の研究室からスピンアウトするかたちで2003年に創設。米国防総省から資金援助を受けるかたちで1997年に研究が始まり、2003年にChris Stolte氏、Pat Hanrahan氏、Christian Chabot氏の3名で起業した。コンピューターグラフィックスの博士号を持つPat Hanrahan氏は、Pixar Animation Studiosの設立メンバーでもあり、過去にはアカデミー賞を2度受賞している。

Tableau Software アジア太平洋地域営業担当副社長のJ・Y・プーク氏

現在Tableau Softwareは、世界120カ国で1万社以上のユーザー企業を抱え、直近3年間は毎年2倍以上で売上を伸ばしているという。今月17日にはニューヨーク証券取引所に上場。投資家からも大きな注目を浴びている。

LinkedIn、eBayなどが本格利用

発表会の冒頭、Tableau Software アジア太平洋地域営業担当副社長のJ・Y・プーク氏は、「現在のBI製品は導入に時間がかかるし、操作性も悪い。営業担当者ら一般社員がデータを"活用"するには至らないケースがほとんど」と現状を分析。そのうえで、同社製品について「瞬時にデータを視覚化でき、その意味を簡単に把握できる。一般社員でも、データ分析を高速かつ美しく行える」と表現した。

プーク氏によると、Tableau Softwareは業種や規模を問わず、さまざまな企業で利用されているという。SNSのLinkedInでは、顧客企業の離職率や競合企業へ流出した従業員などの調査に利用、ECサイトのeBayでも、5TBにも及ぶアクセスデータから訪問者のページ離脱傾向などを分析している。また、製造業においてマシンの故障タイミングを予測したり、学校において生徒の成績や出席率の傾向を分析したり、医院において患者の医療費を極力抑えた診療方法を模索したりと、広く利用されていることが紹介された。

Tableau Japan 社長の浜田俊氏

また、同氏は、日本法人設立の理由について、「日本はアジアパシフィック地域で最大のBI市場を持つ国。情報サービスソフトウェア市場規模も米国、英国に次ぐ世界第3位で、指標やデータに対するリテラシーと関心が極めて高い」と説明した。

「客先でデモができる」BI製品

一方、Tableau Japan 社長の浜田俊氏は、「SAS、CognosなどのBIベンダーで勤務してきたが、顧客のオフィスでデモをしたことは一度もない。しかし、Tableauではわずか数カ月間で何十回と行っている」と導入の手軽さを強調。「マウスクリックだけで分析フォームを作れるし、あれこれ触りながら新たな視点での分析が行える。利用形態に関しても、PCにインストールするだけで使えるうえ、サーバを設置するかたちにも対応している。数十万円で導入できるので、とりあえずPCで利用しはじめ、大規模分析が必要になったときにサーバを設置するというスモールスタートも可能」と語り、製品に対する自信を覗かせた。

Tableau Japan セールスコンタクト マネージャーの並木正之氏

また、国内での販売戦略について浜田氏は、「間接販売モデルを採用」と説明。ただし、ダウンロード提供している無料版を活用したハイタッチ営業も展開するとしており、具体的な施策として「米国同様、14日間の無料提供が終了するタイミングでユーザーに電話をかけ、不明点を聞いたり、詳しい利用法を説明したりしてフォローアップを行いつつ購入に結び付ける。その際の販売パートナー選びは、ユーザー企業の要望を聞いて対応ということになる」と説明した。

データの取り込みから不採算地域の視覚化までがわずか数分

発表会では、Tableau Japan セールスコンタクト マネージャーの並木正之氏が、国内リリースしたばかりの最新版「Tableau 8.0」についてデモを交えながら紹介。売上データを取り込み、商品種類別/地域別にデータを視覚化したり、顧客データを配送手段別に分類したうえで効率化できるユーザーを視覚化したり、Google Analyticsのデータをグラフ化したりする様子が披露された。また、作成した分析シートをAmazon Web Servicesなどにアップロードし、Webブラウザから閲覧/編集できるようにする様子も披露された。

デモの様子。データソースの設定を終えた直後の画面

ディメンションを設定して商品別に売上を表示

色で利益率を表現

売上を円の大きさで、利益率を色で表示し、地域別売上データを地図にマッピング

Google Analyticsからデータを取り込み

PVのデータを視覚化。地域別に色分けしたうえで、比率を面積で表現している

ワードクラウドで地域別のPV比率を表現

シートをAmazon Web Servicesにアップロードして、iPadから閲覧

なお、今回リリースTableau 8.0では、デモの中で披露されたGoogle Analyticsとの連携機能など、「100近くの新機能が取り込まれている」(並木氏)という。

さらに並木氏は、各種のデータを視覚化して一般ユーザーに公開/共有できる無料サービス「Tableau Public」を提供していることも説明。「研究機関、学術機関、ニュースメディア、ブロガーなどがさまざまな分析シートを公開している」と言い、日本でも広く閲覧/利用してもらうよう呼びかけた。