今年夏以降にリリースされると噂されている新型iPhoneについて、最も興味深い話題の1つが「低価格iPhone」の存在に関するものだ。低価格iPhoneに関する噂はいくつかあるが、最も重要なのは「ターゲット層」と「価格帯」にある。これについて、アナリストらがiPad miniでの成功を基にその動向を分析している。

同件はApple Insiderが報じている。基の分析レポートはJ.P. MorganのアナリストMark Moskowitz氏とGokul Hariharan氏がまとめたもので、今秋登場が噂される、いわゆる「低価格iPhone」のターゲットを予測している。詳細はApple Insiderに掲載されたグラフを参照すれば一目瞭然だが、現在のスマートフォンは出荷数ベースで大きく高価格帯と低価格帯に分かれており、ミッドレンジの層が非常に薄い。具体的には400ドル前後の価格帯で、この付近をボリュームゾーンとする製品をAppleは投入して市場を盛り上げるのではないかという予測だ。

これはiPad mini登場前後でのタブレット市場での成功体験を予測のベースの1つとしており、例えば以前までであれば500ドル以上の高価な製品か、あるいはNexus 7やKindle Fire登場以降にボリュームゾーンとなった200ドル以下の製品と、両極端な分布となっていた。これがiPad miniが329ドルの価格で登場したことでミッドレンジの領域が急拡大し、これまでスポット的に空いていた価格帯が注目されるようになった。むやみやたらな価格勝負をせず、iPhoneについても一定のブランドと利益率を維持するには無難な線だといえるだろう。

だがWi-Fiモデルが中心で、携帯キャリアによる割引き販売があまり見られないタブレットに対し、スマートフォンはiPhoneの200ドルにみられるように、複数年契約での割引き販売がごく当たり前で、多くのユーザーはスマートフォン本来の価格を意識することはほとんどない。ゆえに、仮に噂の低価格iPhoneが350~450ドルの価格レンジで登場したとして、本来の価格である600~700ドルの水準から200~300ドル程度の値引きが行われるだけで、携帯キャリア的には「新型iPhoneを0円端末として販売する」ための商材を手に入れるだけだろう。これはAppleブランド的に意味のあるものかはわからない。もし、仮にiPad miniと同レベルの300ドル台の端末が登場するとして、ターゲットユーザーから売り方まで、従来とは違うスタイルを模索しなければならないと筆者は予測している。