東京大学とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、東大にて開発した、ネットワーク仮想化に対応した無線LANアクセスポイントを用いて、スマートフォンやタブレットPCに対して、通常の無線アクセスによるインターネット接続サービスを提供すると同時に、イベント情報などをリアルタイムで配信する実証実験を5月3日~5日に行うと発表した。

実証実験では、イベントの来場者が、貸与された端末(200台を予定)を利用して、場内に配置されたアクセスポイントから、無線LANアクセスによるインターネット接続を楽しむと同時に、イベント情報やレストラン特別メニューなどのリアルタイムで更新される情報を含むデジタルサイネージ配信をBeaconCastによって受け取ることができる。

実証実験の概要

今回の実証実験は、三菱地所、東京国際フォーラムなどの企業の協力により、5月3日~5日に東京国際フォーラムで開催される音楽祭イベント「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」において実施するもので、本技術を活用したO2O(Online to Offline)マーケティング戦略の有用性などを検証する。

東大では、2012年9月から、文部科学省 大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)の採択事業として、「アクセスポイントの仮想化による情報通信サービスの高度化」の研究を行っており、本事業で研究開発した、世界初となるネットワーク仮想化に対応したアクセスポイントを用いて、通常の無線LANアクセスサービスを提供しつつ、同時に、同じアクセスポイントから様々な情報配信・情報収集の付加価値サービスを提供することが可能になった。

実現可能な情報配信サービスの具体例としては、電波が混雑した状況においてもアクセスポイント上から近隣の不特定多数の利用者に認証なしで確実に同報を行う情報通信形態であるビーコン信号を使った通信「BeaconCast」と呼ばれるプロトコルを、世界で初めて新規開発。さらに、BeaconCastを用いて、デジタルサイネージを発信する利用者が、テキスト、画像などのコンテンツを作成し、配信できるシステムと、利用者がスマートフォンにてコンテンツを受信するアプリケーションを新規開発した。

NTT Comは、東大で研究開発されたアクセスポイント仮想化技術に初期段階から着目し、2012年3月より東大と共同研究を推進してきた。今回の実証実験においては多種類のデジタルサイネージ配信情報を扱うことにより、情報の受け渡しの場所やタイミングなどの技術評価とともに、受け取った情報の有用性の評価を行い、今後の新たなサービス創出に結びつけていく予定。

東大とNTT Comは、本実証実験を通じて、ネットワーク仮想化対応のアクセスポイントにより、通常無線LANのインターネットアクセスサービスと様々な付加価値サービスが同時利用できること、BeaconCast新規開発プロトコルにより、電波が混雑した状況においてもアクセスポイント上から近隣の不特定多数の利用者に認証なしで確実に同報通信ができること、巨大イベントにおけるO2Oマーケティング戦略の有用性を検証する。