アドビ システムズは16日、同社の写真編集ソフト「Adobe Photoshop Lightroom 5」のパブリックベータ版を無償で公開した。パブリックベータ版は同社Webサイト「Adobe Labs」(英語)にてダウンロード可能。対応OSはWindows7,8、Mac OS X v10.7またはv10.8。パブリックベータ版の使用期限は6月末までとなっている。
「Adobe Photoshop Lightroom」は、同社の主力製品「Photoshop」から派生した、プロフォトグラファー、ハイアマチュア向けの写真編集ソフトウェア。年を追うごとに多様化するPhotoshopの機能が使いこなせない、というユーザーの声を反映して生み出された、写真の整理・加工・公開に特化した製品だ。今回、パブリックベータ版が公開された「Photoshop Lightroom 5」は、「さらなる画像品質の向上」と「簡単で高速な撮影後の画像処理」に注力して開発が進められたという。今回は、最新版から搭載される新機能について紹介していく。
修正ブラシ強化や被写体を水平に補正する「Uprightツール」
写真の加工に関して、複数の新機能が追加された。まず、これまでは円形による選択のみだった、修正ブラシの選択範囲がより細かに選択できるようになり、写真に写り込んでしまった不要な被写体を選択し、直感的な操作で消去することができる。「Photoshop」の「コンテンツに応じる」機能のような操作が、Lightroomでも行えるようになる。範囲選択は手動で行う操作以外に、Lightroom側がコンシェルジュのように、消去の際に適用すべき範囲を示す機能も加わった。
また、写真の加工機能としては「円形フィルター」が追加され、強調したい被写体の周囲に円形の効果を加えることが可能となった。そのほか、写真の被写体の角度を後から補正することが可能となる「Uprightツール」を搭載。水平を認識して、角度をつけて撮られた状態の被写体でも、水平に補正することが可能となる。
現像処理をより手軽にする「スマートプレビュー」機能
今回搭載された新機能の中でも、オフィスや自宅の外で作業する際に重宝するものが「スマートプレビュー」という新機能だ。これまでHDDとの接続が切断されると、外付けのHDDから読み込んだ写真に対する加工はできなくなっていた。しかし、HDDとつないだ状態で「スマートプレビュー」を作成しておけば、外出先などのHDDと接続されていない状態でも、写真に対する処理を行うことができる。
「スマートプレビュー」に対して行った作業内容は保存され、参照した元画像へ反映することが可能。事前に行われた記者説明会の席で、同社の栃谷宗央氏は「スマートプレビュー」の補正記録データに関して、キロバイト単位の軽量なものではあるものの、多く作りすぎるとHDDに影響をおよぼすため、ある程度の数に抑えて生成してほしいとコメントしていた。
そのほか、写真加工に関する部分以外では、フォトブックの作成機能の強化や、ビデオファイルのスライドショー対応が行われた。後者では、静止画像のみならず動画ファイルや音楽を組み合わせ、クリエイティブなスライドショーを作成できるようになったということだ。