NTTエレクトロニクス(NEL)は、イーサネットなどの多様な信号から長距離光伝送用の統一信号フレーム形式に変換する転送処理を1チップに集積した低消費電力100G OTNフレーマLSIを開発したと発表した。

従来、100G-DWDMシステムにおいては、100GEを転送するトランスポンダ、10GE/STM-64を10チャネル多重転送するマックスポンダ、100G OTU4を中継するリジェネレータなどの機能を実現するために、複数のLSIまたはFPGAが必要だった。転送処理が多岐にわたるとともに高性能な誤り訂正(FEC)機能が必要であり、回路規模が膨大になってしまうため、すべての機能を1チップに集約した100G OTNフレーマLSIはこれまで製品化されていなかった。

同製品は、40G通信アプリケーション向け大規模LSIの製品開発・販売のノウハウをベースに、先端半導体プロセス技術を採用したほか、NTT研究所の光伝送システムにおける高度な技術に基づき、多様なクライアント転送処理ならびに100G長距離光伝送に必要な誤り訂正機能を1チップに集積し、低消費電力化を実現した。

具体的には、トランスポンダモード(Transponder mode:100GEを光転送用フレーム形式に変換)、マックスポンダモード(Muxponder mode:10Gx10chを光転送用フレームに収容)、リジェネレータモード(Regenerator mode:100G光転送用フレームを再生中継)など、多様なクライアント信号の転送処理機能を1チップに集積した。

また、誤り訂正機能には、リードソロモン符号を用いる標準GFECに加えて、独自のEFECを搭載。同じ7%の符号冗長度で符号化利得を2倍となる3dB以上に向上させることができる。さらに、100Gデジタル信号処理(DSP)LSIと組み合わせて動作させることにより、その光雑音耐力を最大限に発揮、伝送距離を拡大することができる。

消費電力については、先端のプロセス技術を適用して1チップ化するとともに、独自の回路設計技術のノウハウにより、約10~20Wまで低減させることに成功。これにより、エネルギー効率の高い光通信システム構築が可能となり、高密度実装による装置の小型化・空間使用効率の向上を実現することができる。パッケージサイズは42.5mm×42.5mm。

なお同製品はすでに販売を開始しており、同社では、同製品が伝送システムに搭載され、通信ネットワークのさらなる帯域拡大や柔軟性向上に寄与することが期待されるとコメントしている。

100G OTN-LSI

1チップ高機能100G OTNフレーマLSI用いた100Gラインカードの構成例