元Appleの幹部でBeOSなどの開発で知られるJean-Louis Gassée氏が、Appleのマーケティング戦略を批判している。「Appleは言葉の戦いに負けている」とAppleをよく知るGassee氏は記している。

Gassee氏がMonday Noteに定期寄稿しているコラムの最新号で、Appleのマーケティングを分析した。Appleが挑戦者から、力を持つ側へと地位が変化したとし、「Appleは競合他社をこきおろさない品格をもつべきだ」とGassee氏。これまでは数字を見せればよかったが、他社が話術をリードするようになったのでこの戦略はうまくいかないという。

例として取り上げたのが、Appleでマーケティング担当バイスプレジデントを担当するPhil Schiller氏が、ライバルSamsungによる「Galaxy S 4」発表前日に応じたReutersのインタビューでの失言だ。

Schiller氏はここで、Galaxy S 4は「1年以上前のOSを搭載しているといわれている。顧客はアップデートを待たなければいけない」と発言している。これに対し、Daring FireballのブロガーJohn Gruber氏は、「unforced error(テニスでよく利用される用語で"自ら招いたミス")」として、Galaxy S4は最新版の「Android 4.2.2」を搭載していると指摘した。「Schiller氏がどうしてうわさをベースに憶測したのか、わからない」とGruber氏が記したことを取り上げた。

「Schiller氏の失言はすぐに忘れられるだろう」とGassee氏、だが問題はそれだけでなく、「Appleの幹部は、自社製品や事業を表現するときに"incredible""great""best"などの言葉を濫用している」と指摘した。

Gassee氏によると、Appleが発表した過去5回の業績報告書で、「Great」という言葉は70回出てきたという。このほか、「Strong」(58回)、「Thrilled」(13回)「Tremendous」(12回)、「Amazing」(8回)などと報告している(いずれもすばらしい、ものすごい、ワクワクするなどの肯定的な言葉)。

楽観しているかどうかの問題ではなく、「誇張であり、言語の濫用だ」とGassee氏は批判している。