今年は2つの彗星(すいせい)が太陽に近づき、地球から肉眼でも見られる。その最初が「パンスターズ彗星(C/2011 L4)」で、今月10日(日本時間)の近日点通過以降は、日本でも日の入り後の西の空に見られるようになる。

国立天文台によると、パンスターズ彗星は2011年6月、米国ハワイ大学天文研究所がマウイ島に設置した「パンスターズ1望遠鏡」(口径1.8メートル)によって発見された。発見時の距離は、太陽-地球間(1天文単位)の約6.9倍、木星の軌道よりも遠い位置にあったが、その後、太陽に近づき、10日の近日点距離(太陽からの距離)は約0.30天文単位(4,500万キロメートル)、地球からも約1.11天文単位(1億6,600万キロメートル)と最も近づく。

今年1月以降、パンスターズ彗星は南半球の各地で未明の空に見られていたが、2月に入り太陽からの距離が1天文単位を切ったにもかかわらず、当初の予測ほど明るくならなかった。そのため、今月10日前後から可能となる北半球での観察でも、実際の最大光度はせいぜい3等級くらいとも考えられ、肉眼での観察は難しいかもしれない。

日本では10日以降、日の入り後の西の空に見られるようになる。さらに今月下旬から4月上旬は、日の入り後の西の空、日の出前の東の空と、1日に2回見られるようになる。しかし見かけ上、あまり太陽から離れないので、低い空でしか見られないという。

今年「パンスターズ彗星以上に明るく見える」と期待されるのが、もう1つの彗星「アイソン彗星(C/2012 S1)」だ。11月29日の近日点距離が約0.012天文単位(180万キロメートル)と太陽に大接近するため、急激に明るくなると考えられている。尾を引いた彗星の姿を肉眼で捉えることができるか楽しみだ。

パンスターズ彗星の位置(夕方):3月中旬-4月上旬、日の入り後30分 (提供:国立天文台)

パンスターズ彗星の位置(明け方):3月下旬-4月中旬、日の出前30分 (提供:国立天文台)